「ロック座名誉会長」逝く 芸能人のタニマチ、勝新の20億円をチャラに

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

■もう貸したよ

 当時、若山は「子連れ狼」の拝一刀役も萬屋錦之介にとって代わられ、ほとんど仕事がない状態だった。

「私は芸能界で仕事をしていたので、借りた金を返さないという若山さんの悪評は聞いていた。母に絶対にダメだと伝えたのですが、数日後には、“あれほどの男が恥を忍んで私に頭を下げてきているんだから、もう貸したよ”って」(同)

 さらに1年も経たないうちに、今度は勝新太郎から借金の依頼があったという。

「勝さん本人ではなく、勝プロダクションの常務と中村玉緒さんが見えて、“事務所の運転資金がなく、映画『座頭市』の制作が出来ない。ママさんの手形保証をいただけないか”ということでした。その際、いくら融通したかは判りませんが、これを機に勝プロが倒産する81年まで、ことある毎に、母は手形を切っていました。トータルで20億円は超えていたでしょうね」(同)

 やがて兄弟2人ともこの世を去り、借金だけが残る。

「母は後ろを振り向かない人でした。たぶん本音では返してほしいと思っていたんでしょうけど、若山さんにも勝さんにも金がないのは知っている。ないものを言ってもしょうがないというのが母の考えでした。勝さんは分割で徐々に返すことになっていましたが、最終的に1億〜2億円返済してもらったところで、清算しています。若山さんは、払わずじまいでしたけど」(同)

 20億円近くをチャラにしてしまったという。男顔負けの気っ風のよさ。豪快がウリの勝新も、草葉の陰で驚いていたに違いない。

ワイド特集「男と女の『劇場』」より

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。