血管を“詰まらせない”“破らせない”ための修復法

ドクター新潮 健康 食事

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■血管によい食事とは

「高血圧や高血糖を防ぐには、まず食事における減塩と分量の管理です」

 とは、総合内科医の秋津壽男医師である。

「糖についてはこれまで、一時的に数値が高くても、1カ月の平均値であるヘモグロビンA1cが低ければ問題なしとされたのですが、現在では『食後一過性高血糖』も血管によくないと分かっています。ですから、血糖値が緩やかに上がるGI(グリセミック指数)の低い食物を多く摂るとか、繊維の多い食材を最初に食べて糖の吸収を遅くするなどの工夫が必要となります」

 GIとは、ブドウ糖摂取後の血糖値上昇率を100とし、それを基準に同量の食品を摂取した時の上昇率を表した数値である。食パン95、白米88、うどん85などに対し、玄米とライ麦パンはともに55。そばも54でしかない。

「玄米や人気のもち麦、押し麦など、GIが低いものは消化しにくい。噛むのにも手間が掛かるので、高血糖対策には効果的です」(同)

 管理栄養士で医学博士の本多京子氏によれば、

「『おいしいものは、脂肪と糖でできている。』というCMがありますが、まさにその通りで、それらを摂り過ぎないよう知恵と工夫と手間が必要なのです。血管によい食事を一言でいえば『メタボ予防』。魚と野菜の工夫に他なりません」

 とのことで、

「血管を若く保つのに役立つEPAとDHAが酸化していない鮮魚に限ります。調理すると成分が油として溶け出すので、それを逃がさない調理法も大切。キノコや昆布など旨みのある食材と一緒に少量の塩や酒を振り、ラップをして電子レンジで蒸す。ポン酢をかけると、塩分も少なくさっぱりして美味しいです」

 サバやイワシなど、青魚の缶詰もおすすめだという。

「魚は調理に手間取り、日持ちしないのがネック。酸化すれば、栄養素として無意味となってしまいます。その点、缶詰は密封され、水分も殆どが魚の煮汁。サバの水煮缶を鍋にあけ、水とちぎった豆腐を入れ、青菜を加えれば味噌汁になる。サンマのかば焼き缶も、鍋で水と混ぜ、ニラや小松菜、チンゲン菜など下茹でが不要な野菜を入れ、煮立ったら溶き卵を回しかける。これで卵とじの完成です」(同)

 かつての漬物や塩鮭とは異なり、現在は加工食品から“見えない塩分”を摂らされているため、要注意だという。出汁についても、

「市販の顆粒の出汁は塩分が強い。空のペットボトルに縦に割った昆布を落とし、鰹節や煮干しを入れて水を張り、1日冷蔵庫に入れておくと、アクがなくて減塩にもなる水出汁ができ、3~4日は持ちます」(同)

 野菜もまた、工夫次第。ものぐさでもこなせるレシピとして、こちらも電子レンジの力を借りつつ、

「深めの容器に野菜を重ね、上から固形スープや鶏ガラスープを少々振って、味出しにベーコンなどを乗せて蒸す。かさが減って食べやすくなり、冷蔵庫で4~5日は持つのでアレンジも利きます。旬の野菜だと、春キャベツをむしってボウルに入れ、玉ねぎと人参の薄切り、ブロッコリーを混ぜて上にまたキャベツでフタをすればいいのです。溶き卵に入れて焼けば野菜オムレツ。お湯とスープの素を足して溶き卵を流し、酢やラー油を入れると、野菜たっぷり酸辣湯となります」(同)

 シンプルな味付けで野菜を下拵えしておき、変化を出すのがコツというわけだ。

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