血管を“詰まらせない”“破らせない”ための修復法

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■血管を「詰まらせない」「破らせない」抗老化の修復法(上)

血管のコンディションを改善する方法とは

 がんとともに長らく日本人の三大死因として恐れられてきたのが心疾患と脳卒中。すなわち、身体にくまなく張り巡らされた血管の疾病に、我々の寿命は左右されてきたといえよう。新たな季節を迎え、最新の知見をもとに血管の「いたわり方」「鍛え方」をお伝えする。

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 カナダの著名な医学者ウィリアム・オスラーに、

〈人は血管とともに老いる〉

 との言がある。生物としての人間の一般的な寿命は120歳とされている。つまりは血管もまた、理論上は同じ年輪を刻めるわけである。

 が、我々は日夜、知らず知らず血管にダメージを与え続けており、その代償として例えば「サイレントキラー」の高血圧症が挙げられる。国内の患者は、予備軍を含めれば実に5500万人とされているのだ。

 長野市民病院の池田宇一理事長兼病院長が言う。

「オスラーの言葉通り、人間の血管は生まれた直後が最も柔軟で、成長するにつれどんどん硬く狭まっていく。その時点から、動脈硬化は進行しているわけです」

 引き起こす症状としては、

「まず『脳血管障害』すなわち脳卒中です。血管内壁にコレステロールが溜まって狭くなり、血液が詰まる脳梗塞、細い動脈が破れる脳出血、そして瘤(こぶ)が破裂するくも膜下出血など。それから心筋梗塞や狭心症などの『虚血性心疾患』、さらに閉塞性動脈硬化症で知られる『末梢動脈疾患』。この3つに大別されます」(同)

 これらの危険因子の多くは共通しているといい、筑波大学脳神経外科の松丸祐司教授(脳卒中予防治療学講座)は、

「喫煙や高血圧、糖尿病、高脂血症が挙げられます。最も血管が詰まりやすいのは心臓で、次に脳、続いて腎臓や足など。ひとたび老化した血管は元に戻りませんが、因子を1つずつ是正していくことでその進行を遅らせ、血管の弾力を回復させることは可能です」

 日常生活において血管のコンディションを改善しようとすれば、どのような心構えが必要なのだろうか。

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