「健康診断は徴兵制につながる」「教師に中立性はない」 恐るべき日教組集会の中身

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■日教組「教研集会」に並んだ洗脳授業(下)

 人妻との大胆なダブル不倫がバレて、委員長が辞任した日教組。岡本泰良(やすなが)前委員長(56)の後継が決まらないまま最大のイベント「教研集会」を迎えたが、これを機に体質が変わるか、なんて期待を抱くのが野暮というもの。追いつめられて、ますます反社会性を強めている感すらあるのだ。

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日教組の第66回教育研究全国集会

 日教組の“憲法”とでもいうべき「教師の倫理綱領」には、こんな項目がある。

3.教師は平和を守る

6.教師は正しい政治をもとめる

7.教師は親たちとともに社会の頽廃とたたかい、新しい文化をつくる

 岡本前委員長も綱領に忠実であろうと、飲んで歌って不倫して「新しい文化をつく」ろうとしたが、「頽廃」しすぎて放逐されてしまった。一方、教研集会で発表した教師たちは、前委員長の失敗を他山の石として綱領を大切にし、平和を守り、政治的中立などは端から捨て、授業で「正しい政治」を求めていた。

■教師の立場に中立はない

全国から集まった教員は約3000人

 社会科教育分科会で発表した沖縄県の中学校の男性教諭は、授業のテーマを「沖縄に米軍は必要か」とし、模擬知事選を行なったという。2014年の知事選そのままに仲井真弘多前知事、翁長雄志現知事、喜納昌吉氏、下地幹郎氏を候補者に立て、最初は生徒個人の考えで投票し、グループ討議をしたのちにもう一度投票するというものだ。

 大人の政治的対立を教室に持ち込み、子供を党派で色分けするとは、政治集団たる日教組の面目躍如だが、同じ分科会で発表した兵庫県の中学校の男性教諭にくらべれば、まだ甘い。

「公民などの授業で時事的、政治的問題を取り上げるとき、教師の立場に中立性はありません」

 と断言するこちらのセンセイ、憲法の授業について発表したが、こんな内容だ。――憲法9条を暗唱できた生徒には特製のワッペンを贈る。多くの生徒がこの課題をクリアすると、今度は憲法前文の暗唱を課し、クリアするとさらに大きなワッペンを与える。

 ご本人が「中立性はありません」と言う以上、憲法を守るために覚えさせられているのは明らかだが、ただ、憲法の条文を暗記して損はない。一方、この先生は南京大虐殺は「あった」という前提で授業し、原発を取り上げるときは、

「3・11以降は推進派の意見は提示せず、反対派の意見を中心に進める」

 とのこと。その洗脳教育ぶりには、あっぱれというほかない。

■原発観の押しつけ

会場で売られる“日教組主義”の本

「子ども・教職員の安全  健康と環境・食教育」という分科会でも、原発についてどう教えるか、議論が交わされた。愛知県の中学校の男性教諭が、エネルギー政策を多面的な観点から学ばせる授業を報告すると、まず大阪府の高校の男性教諭が注文をつけた。

「われわれはチェルノブイリについて、広島の800発分の放射能を降らせたという評価をし、それが美浜で起きて放射能が関西を襲うというシナリオを作って、10年住みつづけたら40万人ががん死するという結果を出し、それを全部授業で言った。そうやって具体的な数字を挙げないと子供にはわかりません」

 また東京の男性組合員も、

「子供たちに調べ学習をさせるのはいいが、ネット検索なんかさせれば、原子力推進の意見が圧倒的に多い。子供たちの考え方はそういうものに流されていくから、指導者がどれだけ見識をもつかが重要。政府や電力会社にからめ捕られないために、指導者がもっと放射能の危険性を学ばないと」

 子供たちが自由に考える前に洗脳しなければ、と強く意見するのである。

 平和教育の分科会ではこんなレポートが。福島県の小学校の女性教諭は、授業で子供たちと次のようなやりとりをしたという。

先生 震災のときは保育園の年長さんだったよね?

子供 はい。

先生 卒園式はできたの?

子供 友だちがたくさん引っ越して、参加した人の数が少なかった。

先生 それって原発事故があったから?

子供 そうかも。

先生 プールには入れた?

子供 忘れちゃった。除染の影響かな?

先生 なんのために除染していると思う?

子供 放射性物質を取り除くため。

 この教諭は、こうして震災当時を振り返り、

「原発事故がもたらした影響を(子供たちが)思い出すことができた」

 とまとめるが、教師が自分の原発観を押しつけて子供の記憶をえぐり、“二次被害”に遭わせているだけではないだろうか。

■教室の外でオルグ

 平和教育の分科会で発表した鹿児島県の高校の女性教諭によれば、「今はもう戦前の空気」なのだそうだ。この教諭のテーマは「『人を撃てるか』~教え子を再び戦場に送るな!~」。自衛隊に就職する生徒が多く、昨年11月、南スーダンPKO派遣部隊へ駆けつけ警護が新任務として付与される際、「いてもたってもいられない」気持ちになったという。なにしろ、

「自分たちの教え子が戦場に送られていく、もう送られてしまっていると考えていいと思うんですけど」

 と認識するこの教諭、日教組に非加入の先生方を飲み会に誘い、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンのこと、日教組への政府の圧力が強まって“共謀罪”も作られようとしているので、仲間を増やしたいこと、今の情勢をとらえた平和教育が必要なこと、などを伝えているという。

 日教組が“共謀罪”の対象になるという過剰な自意識はともかく、教育を政治運動のなかに位置づけ、周囲をオルグするのを当然のように語る姿勢には、違和感を覚える方が多いだろう。

 しかし、先の「綱領」にはこうも書かれている。

10.教師は団結する

 ちなみに、開会式後の特別講演に登場した法政大学の山口二郎教授は、

「教室で政治教育をしたいだろうけど、そこは無理をしないほうがいい。高校の後輩相手に教室の外でオルグすればいい」

 などと話していた。そこからあらためて確認できるのは、堂々と政治教育をしたいのは山々だが、バレると面倒なので教室外で“運動”する、という日教組のセンセイ方の生態である。

■憲法改悪と健康診断

 そういえば先の鹿児島県の高校の女性教諭は、健康診断についても、

「今年度から手足が動くかどうかの検査や、色覚検査が復活し、これは徴兵制につながるのではないか」

 と豊かな想像力を披露したが、保健・体育分科会でも広島県の小学校の女性教諭が、こう報告していた。

「憲法改悪に向け、為政者があれこれと画策し、戦争ができる国へと変わりつつある危機に直面している今、子供の身体を評価しようとする健康診断の意味をあらためて考える必要がある」

 憲法改悪と健康診断を結びつけるには、さらに高度な発想力が求められそうだが、なんでも先輩から、

「戦時中、身体検査で子供たちの身体を甲、乙、丙と評価し、戦場に送り、戦場に行けない子に非国民の烙印を押した歴史がある」

 と教わったそうだ。ちなみにこのセンセイ、

「子供たち一人一人の体は違っていて、健康状態も違う。(子供を身体的能力で評価する運動器検診で)健康状態を評価し、その結果をお知らせすることで、子供や保護者を不安にさせたことを忘れてはいけない」

 とまで説くが、健康診断を徴兵制と結びつける発想こそ、子供や保護者を不安にさせるということを、忘れてはいけない。

特集「委員長が『ラブホ不倫』で辞任 日教組『教研集会』に並んだ『洗脳授業』一覧」より

週刊新潮 2017年2月16日梅見月増大号掲載

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