ミニロケット打ち上げ失敗の責任問題 低コスト実験 

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海の藻屑に…写真提供:JAXA

 新年一発目の打ち上げだったが、幸先の良いスタートとは行かなかった。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、1月15日に発射したロケット「SS520」。昨年4月、お粗末な人為的ミスで運用を断念し、約300億円をふいにしたX線天文衛星「ひとみ」の汚名返上も兼ね、何としても成功を収めたかったに違いない。が、あえなく、失敗に終わってしまった。

 JAXA広報部によれば、

「打ち上げ20秒後までは正常でした。ロケットの状態は、常に地上に送信されてくるシステムなのですが、突然、モニター画面に何も送られてこなくなったのです。ロケットの姿勢などが分からなくなりますから、万一のことを考えて、2段目のロケットへの点火を中止しました。苦渋の決断だったと聞いています」

 推力を失い海に落下したロケットは、全長約10メートル、直径約50センチとミニサイズ。ゆえに、機体と打ち上げに掛かる費用は約5億円と、主力ロケットに比べて20分の1ほどだが、背負っているものは、大きかった。

 科学部記者が言う。

「世界的に小型衛星を打ち上げる需要が増え、如何に安く打ち上げるかが課題となっています。そのため、今回、ロケットの様々な部品に、家電や携帯などに用いられている民生品を使い、低コストで打ち上げるという実験だったわけです」

 失敗となると世界から置いてきぼりになりかねない。どう責任をとるというのか。

 科学評論家の佐川峻氏が言う。

「民生品を使うという試みは良かったと思います。今回は実験ですから、責任と言うよりも、挑戦して失敗しただけ。ただし、仮に故障の原因が民生品だったとすると、民生品を使ってコストダウンという、そもそもの狙いがハズレだったことになります」

 やはり5億円はデカい?

週刊新潮 2017年1月26日号掲載

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