安倍官邸、「天皇陛下」お誕生日会見に戦々恐々 生前退位の“第2のおことば”警戒で

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

泡を喰った官邸

 遡ること5カ月の7月13日、NHKが「天皇陛下『生前退位』の意向」という衝撃的なニュースを報じた。そして、陛下ご自身がビデオメッセージで発表された「8月8日のおことば」。

 今年で83歳を迎えられる陛下が、

〈次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています〉

 と、生前退位への強いお気持ちを示され、国民の心を揺り動かしたことは記憶に新しい。

 だが、そんな陛下のおことばに、官邸は当時、泡を喰ったという。

 先のデスクが続ける。

「実は、宮内庁から官邸に陛下の“退位のご意向”が極秘裏に伝えられたのは昨年の秋。小泉政権下で女性宮家創設を検討した皇室典範改正準備室が官邸に残っており、彼らが水面下で動くことになった。仕切り役は杉田和博官房副長官です。官邸は当初、退位ではなく“摂政を置いて公務の負担軽減を図る”という結論で乗り切ろうと考えていました」

おことばへの警戒心

 要は、煩雑な法改正に着手することなく、やり過ごそうとしたわけである。しかし、官邸がこの結論を宮内庁に伝えた矢先、NHKが陛下のご意向を「スクープ」してしまったのだ。

「まもなく発表された“おことば”では、皇室典範に定められ、官邸が進言した摂政案が否定されました。また、“象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ”というご発言からは、陛下が恒久的な制度を望んでおられることも明らかになった。こうしたおことばが、天皇の政治への関与を禁じた憲法の趣旨を踏み越えているとの指摘は根強くあります。官邸としては“おことば”の政治的な色合いを薄めようと腐心してきました」(同)

 そんな官邸が目下、戦々恐々としているのは、

「陛下と記者がやり取りできる唯一の機会である、お誕生日会見です。摂政案を諦めた官邸は、特例法による一代限りの退位を落としどころと考えています。そのため、陛下があくまでも恒久法にこだわったご意向を示されることに、並々ならぬ警戒感を抱いているのです」(前出・記者)

週刊新潮 2016年12月22日号掲載

特集「宮内庁vs安倍官邸の深刻すぎる対立『天皇陛下』お誕生日会見に戦々恐々の人々」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。