シェイクスピアの“共同執筆者”をビッグデータが証明…真偽は

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死後400年たっても謎だらけ

 日記もない。手紙もない。残る手稿は1作のみ。知識人なら当然所有していたはずの蔵書も見つからなければ、郷土の有名人なのに地元旧家に知り合いも皆無。1769年に初めて“別人説”が唱えられて以来、いまだに正体が謎なのが今年没後400年を迎えた英国の“国民作家”、ウィリアム・シェイクスピアだ。同時代の哲学者フランシス・ベーコンが正体だ、という説もあれば、精神分析学者フロイトや名優オーソン・ウェルズも信奉したオックスフォード伯説も。後者は米オレゴン州に設立された研究センターを中心にいまだ盛んに研究されている。

「ところがそのシェイクスピアの共同執筆者がビッグデータから証明された、と英国の名門出版社オックスフォード大学出版局が発表したのです。44作品のうち17作品が他の作家との共著で、中でも『ヘンリー六世』は、同時代の劇作家クリストファー・マーロウが共作者だと同社が刊行する全集にクレジットされるのです」(文化部記者)

 このマーロウ氏、シェイクスピアの別名ではないかと何世紀も議論の的となってきたが、それも終止符が打たれるというワケか。

 東京大学教授でその名も『シェイクスピアの正体』(新潮文庫)という著書がある河合祥一郎氏は冷静だ。

「これが定説になるかは、今後検証が必要です。データの使用方法もまだ明らかにされていないのですから。現段階ではあくまで仮説の一つとみなすべきでしょう」

 全集編纂の中心人物の一人であるゲイリー・テイラー米フロリダ州立大学教授は文体分析の大家で花形シェイクスピア学者だが、以前にもオックスフォード大学出版局からシェイクスピア全集を刊行、その際、編集方法を巡って批判を巻き起こした人物だという。

「私にも別の仮説がありますよ(笑)」(同)

 謎が解ける日は来るのか。

週刊新潮 2016年11月24日号掲載