悠仁殿下の乗る車が追突事故…東宮ご一家との待遇格差に「皇位につく可能性の考慮を」

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問われる危機管理

 事故当日の宮内庁では、

「ニュースを受けて急遽、宮家担当の参事官が登庁し、対応にあたりましたが、取ってつけたように『山には登られました』と言う。翌日も、西村泰彦次長が会見で『事故はみなさんの報道で知りました』ととぼけるので、我々は『危機管理はどうなっているのか』と呆れるばかりでした」(同)

 さらに続けて、

「そうした対応以上に問題なのは、起こるべくして起きてしまったという点。両陛下や東宮ご夫妻のお出ましとは異なり、宮家の場合、皇族方の乗られる車には護衛の先導車や白バイはつかないのです」

 両陛下や皇太子ご夫妻の移動に際しては、一般道では信号を操作するため赤信号で停まることはなく、高速道路でも交通規制を敷くので事故とは無縁。対して秋篠宮家は、あくまで宮家として扱われるので信号待ちをし、渋滞にも巻き込まれるというわけだ。

「もちろん今回も、皇宮警察で宮家を担当する護衛三課の側衛官が同乗し、後方には警備車両がついていましたが、それでも事故は起きてしまった。悠仁さまがおられるのにこうした待遇のままでよいのか、との疑問はつねについて回ってきました」(同)

 これまで再三指摘されてきたことではあるが、東宮ご一家と、皇位継承権のある男性皇族をお二方も擁している5人家族の秋篠宮家とで、待遇には大きな違いがある。予算においては、両陛下と皇太子ご一家の共通のお財布となる「内廷費」は3億2400万円。対して秋篠宮家の生活費にあたる「皇族費」は、今年度6710万円。が、それ以上に深刻なのは、人手の格差である。

“宮家で育つ”との前例なし

 宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司氏が言う。

「秋篠宮家には現在、兼務もあわせて約20人の職員がいます。戦後の宮家皇族では突出して多い人数ですが、それでも比べ物になりません。皇太子ご一家には50人ほどの東宮職に加え、運転手や料理人は管理部からあてがわれるため、総勢でおよそ70人がお仕えしていることになるのです」

 そうした現状は、日常生活にもおのずと反映され、

「例えば愛子内親王殿下がお出かけになる場合、悠仁親王殿下よりも多くの職員がつくことになる。後々のお世継ぎを考えれば不思議な話ではありますが、これは『内廷皇族から皇太子が生まれ、天皇が育つ』という考え方に依拠しているからなのです」(同)

“宮家で育つ”との前例がなく、想定すらしていないというのだ。

「ですが、こうした事故が起きた以上、考えを改めないといけません。悠仁親王殿下に何かあったら次がいらっしゃらないのですから、法律で内廷皇族と宮家を分けるだけでなく、皇位につく可能性に照らして対応すべきです」(同)

「恐れていたことが」

 同じく皇室ジャーナリストの神田秀一氏も、

「恐れていたことが現実になってしまいました」

 そう嘆くのだ。

「小泉内閣の時代に催された『皇室典範に関する有識者会議』は、悠仁さまのご誕生で立ち消えになりましたが、私は皇位継承の議論を落ち着かせてしまったことが理解できませんでした。学者の中には『もし悠仁さまに何かあったらどうなるのか』と案じる方もいましたが、その通りになったわけです」

 待遇に関する議論がにわかに沸き起こる可能性もあるというのだが、

「宮家の扱いを変えるにはやはり皇室典範や皇室経済法の変更が不可欠。作業が煩雑なことを知ってか、現政権は宮内庁ともども及び腰ですが、それでは駄目です。皇室の置かれた状況に対し、もっと緊張感を持たなければなりません」(同)

 将来をつぶさに見据えられる陛下に、また一つご憂慮が増えてしまった。

週刊新潮 2016年12月1日号掲載

特集「天皇陛下が肝を冷やす秋篠宮『悠仁殿下』の中央道『追突事故』」より

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