「反トランプ」一色だった米メディアの偏り 支持は100紙中2紙

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 トランプ氏が「リベラルバイアス」と猛抗議したのも無理はない。

 ニューヨーク・タイムズがトランプ氏を「米国近代史上、最悪の候補」と酷評すれば、ワシントン・ポストは次々に女性スキャンダルを報道。何と、発行部数上位100紙のうち、彼を支持したのは、たった2紙だけだったのだ。

トランプ氏のニュースを伝えるMSNBC

「テレビにしても、ヒラリー贔屓の内容ばかりで『クリントン・ニュース・ネットワーク』と揶揄されたCNNだけでなく、3大ネットワークと呼ばれるCBS、ABC、NBCまで『反トランプ』でした」

 とは、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏。

「米国のメディアは、もともと圧倒的に民主党寄りなんです。戦前にニューディール政策を成功させたルーズベルト政権から長らく民主党優勢の時代が続いたため、メディアの人間たちも体制に肩入れしていった。おかげで、ワシントンで働く記者や編集者の9割が民主党支持者という調査結果まで出た」

 が、今回、「反トランプ」に動いたのは、リベラル系のメディアだけではなかった。アメリカ現代政治を研究する上智大学の前嶋和弘教授によれば、

「ウォール・ストリート・ジャーナルやフォックスニュースといった保守系メディアですら、トランプ氏に批判的でした。メディアには政治スタンスに起因するバイアスの他に、『望ましさ』のバイアスがかかる。その判断基準になるのが世論調査ですが、『隠れトランプ』が数字に反映されず、見誤ってしまった」

 メディアは猛反省している。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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