額賀派に流れた「会長交代」の誤報 難航する後継者選び、青木幹雄の思惑は

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 額賀派は近頃、さっぱり存在感がないとはいえ、自民党ナンバー2の名門派閥には変わりない。つい先日、額賀福志郎会長(72)は近く辞任し、後継には竹下亘副会長(69)が就任すると報じられた。ところが、額賀氏はこの報道に激怒。逆に後継者選びが難航していることが露呈して……。

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 自民党は2000年代に入ってから、細田派(清和研)出身の総理・総裁が続いている。90年代末まで長らく権力を握り続けた額賀派(平成研)の人々にとっては、正に冬の時代である。

 共同通信が〈額賀氏が派閥会長辞任意向 自民、「竹下派」に衣替え〉との記事を配信したのは、10月26日21時過ぎだった。時期は未定だが、竹下亘副会長が額賀派の次期会長に就任する方向だというのだ。額賀派関係者の話。

「額賀さん自身は記事を全面否定し、27日の派閥の総会でも続投宣言しました。竹下さんもびっくりして、額賀さんにお詫びの電話を入れたそうです」

 当の額賀会長も、

「(記事は)誤報ですよ。その後、記者も謝ってきた。それ以上は話しません」

 額賀氏が、旧竹下派(経世会)の流れを汲む額賀派を率いて7年。派閥会長交代の記事が出た背景を、額賀派議員はこう説明する。

「自民党の参院会長を務めた青木幹雄さんは議員バッジを外したとはいえ、今も参院平成研への影響力は絶大です。ですから、その意向は無視できません。額賀さんは若い頃から派閥の将来を担う逸材と言われてきたが、結局は期待外れ。会長として派閥の議員の面倒をさっぱりみない。青木さんも、そろそろ後継に会長の座を譲ったらどうかと提案しています」

未だに影響力は絶大

■大政奉還

 早い話、青木氏から額賀会長はダメ出しされているも同然だとか。と同時に、

「青木さんは、『目の黒いうちに大政奉還するのが自分の役目。竹下(登)が作った派閥のことは僕が決める』と話していますよ。青木さんは、竹下登さんの元秘書。登さんの異母弟の亘さんが額賀派を継ぐべきだというわけです」(同)

 別の額賀派議員も言う。

「青木さんは、亘さんを『欲のない人』と評しています。亘さんは、復興担当大臣を1年やったが、自ら安倍総理に『次の人にやらせてください』と直訴したように、権力にしがみつく人ではありません。自分でも総理・総裁を目指す人が派閥の長をやるべきだと考えている。青木さんから派閥を継ぐように打診されても、断わり続けているのです」

 もっとも、派閥会長の座を狙っている人もいる。茂木敏充政調会長(61)である。

「こちらは青木さん曰く『徳の足りない人』。上ばかり見ていて、自分より下の人間にはやたら厳しい。だから、若い人からの人望が全くないという意味です。青木さんは大政奉還に拘っていますから、茂木さんに継がせるつもりは全くありません。そもそも茂木さんが会長になったら、かなりの議員が派閥を離脱すると言われています。額賀さんも譲るつもりはないでしょう」(同)

 茂木氏は27日の派閥総会で、真っ先に「我がグループは額賀会長を中心としてやっていこう」と訴えた。「大政奉還」は断固反対というのが見え見え。だから「徳が足りない」と言われてしまうのだ。

特大ワイド「ふりむけば百鬼夜行」より

週刊新潮 2016年11月10日神帰月増大号掲載

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