松山英樹、世界ゴルフ選手権優勝 体幹トレーニングの成果

スポーツ週刊新潮 2016年11月10日神帰月増大号掲載

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 2位に7打差をつけての圧倒的な優勝である。世界ゴルフ選手権「WGC―HSBCチャンピオンズ」を制した松山英樹(24)のプレーは、これまでになくパワフルかつ正確だった。日頃から怠らない「体幹トレーニング」がもたらした成果でもある。

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 そもそも、「WGC―HSBCチャンピオンズ」とは、いかなる大会なのか。日本では、あまり馴染みがないが、優勝賞金が162万ドルとメジャー大会並みで、R・マキロイやA・スコットなどPGAツアーのトップテン選手も参戦する。そこで、「23アンダー」というぶっちぎりのスコアで優勝したのだから、やっぱり松山はすごいのだ。

 実をいえば、大会が行われた上海の「シェーシャン・インターナショナルGC」は、松山にとって相性の良くないコースだった。

 プロゴルファーの沼沢聖一氏が言う。

「このコースで松山選手は、これまで2度棄権し、41位が最高成績でした。彼にとっては、やりたくない場所だったといっていい。今回もティーショットが良かったわけではありません。それだけに、彼も不安を持って臨んだと思います」

 だが、蓋をあけてみれば初日こそ3位タイだったものの、残り3日間をダントツで終えたのはご存じのとおり。何が良かったのだろうか。

 前出の沼沢氏によると、雨でグリーンが柔らかくなり、ボールが止まりやすくなっていたことが大きく味方したと言う。

「今大会では『リフト&クリーン』というルールが適用されています。これは、フェアウエーのボールが濡れていた場合、いったん拭いたうえでクラブの長さの範囲なら好きな場所に置いて良いというもの。松山選手のようなデッドにピンを狙ってゆく攻撃的なゴルフには有利なのです」(同)

 もちろん、優勝につながったのは、これだけではない。何と言っても良かったのがパットだ。

「メジャー大会が楽しみ」

■完璧主義者

 松山選手は最終日のラウンドも3連続バーディを含む6バーディ、ノーボギーで回り、後続を寄せ付けなかったが、

「体の軸がブレなくなってきた証拠です」

 とはゴルフジャーナリストの児島宏氏。

「パットは体が動いては絶対にダメ。微動だにしない構えを作って手だけを動かすのが基本です。それが出来ているということは、これまでの、“体幹トレーニング”の成果が出ているのでしょう」

 松山はプロになってからも母校の東北福祉大学のトレーニングルームに通い、マシーンを使って体幹を鍛えるのに熱心だった。アメリカの速い芝に対応するのが目的だったが、まずは中国で効果が表れたわけだ。

 さて、10月から始まったシーズンの緒戦を制した松山選手、「メジャー大会が楽しみ」と話しているが、どこまで戦えるのだろうか。

 在米ゴルフジャーナリストの舩越園子氏によると、

「松山選手は完璧主義者なんです。だからショットが悪かった今年は、ずっと不満そうだった。しかし、欲しかった日本オープンのタイトルを取ったことで、自信がつき世界ゴルフ選手権の優勝につながった。メンタルなゲームですから、これは大きい。メジャー大会も大いに期待できますね」

 心配があるとすれば、「完璧主義」がカラ回りしてしまうこと。それで自滅した選手は結構多いのだという。

特大ワイド「ふりむけば百鬼夜行」より