反原発で当選、米山新潟知事のぶれる信念 推進派から“豹変”

政治 週刊新潮 2016年11月3月号掲載

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「天の声にも変な声がたまにはある」。かつて福田赳夫元総理がぼやいたこの言葉が、与党幹部たちの脳裡に木霊(こだま)しているに違いない――。自公推薦候補の楽勝と見られていた新潟県知事選挙(10月16日投開票)で、共産、自由、社民の野党3党が推した米山隆一氏(49)が奇跡の逆転勝利を果たし、与党側は「あの米山に負けたショック」に覆われているという。

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共産、自由、社民の野党3党が推した米山隆一氏(米山隆一公式ホームページより)

 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が争点のひとつとなった新潟県知事選では、再稼働反対を掲げた米山氏が、圧倒的不利と見られていた状況を覆し、自公推薦候補に6万3400票の差をつけて当選した。しかし、

「本当に、米山さんに県知事が務まるんでしょうか」

 と、首を傾(かし)げるのはある新潟県政関係者だ。

「彼は変わっていますからね。とにかく信念がぶれる。だって、米山さんはもともと原発推進派だったんですよ。それも筋金入りの」

 事実、米山氏の過去のブログを見てみると、

〈勇気と覚悟をもって、原発の再稼働と消費税の増税に、Yesといいましょう〉(2012年7月19日付)

〈今、日本が、世界最高水準の技術を持ち、世界有数のエネルギーを生み出している原子力技術を放棄するということは、極めて非現実的選択枝(ママ)〉(同年12月3日付)

 確かに、「超」の付く原発推進派としか思えない記述であり、知事選に際し再稼働反対に転じたのは「当選目当て」と見られても致し方あるまい。なお彼は過去4度、国政選挙を戦い、いずれも落選しているが、自民党を出て日本維新の会に移り、直近までは民進党新潟5区総支部長を務めていた。小池百合子都知事ばりの「渡り鳥」ぶりである。

■「思い付きの人」

 そして今回の知事選でも、

「米山さんのいい加減さにかき回されました」

 と、民進党関係者が振り返る。

「9月中旬の時点で、うちは独自候補の擁立を見送る決定をしていたのに、その後、突然、米山さんは他の野党の推薦を得て立候補した。当然、総支部長だった彼は党の方針を知っていました。知事選に出たいのであれば、まずうちの党に話すのが筋でしょう。灘高から東大理IIIに進み、医師にして弁護士。頭はいいんでしょうが、常識が……」

 実際、地元での評判も、

「09年の総選挙で、米山さんはコツとタイミングを理論的に把握すればバク宙もできると言い出し、周囲の呆れ顔をよそに、選挙カーの上でバク宙をしていた」(新潟県議)

「自分の選挙遊説の途中で、中学生に自身のテーマソングを聞かせたいと言い出したことがありました。そして、次の日程が決まっていたのに無視して、テーマソングの音源が届くまで中学校前に居座った。中学生に選挙権はないのにですよ。結局、思い付きの人なんです」(新潟5区内の市議)

 といった具合。選挙のためであれば原発観の「豹変」を厭(いと)わないのも頷ける。

 当の米山新知事は、

「批判は批判として受け止めますが、それも僕が過去のブログを削除せずに、全部オープンにしているからでしょう」

 と、開き直るのだった。

 世にも奇妙な、五十路目前の「声変わり」――。

ワイド特集「浮き世のジャック・オー・ランタン」より