将棋ソフト使用疑惑の三浦九段 師匠は「真面目すぎるほど真面目。不正は信じられない」

社会週刊新潮 2016年10月27日号掲載

 三浦弘行九段(42)に浮上した、将棋ソフト不正使用の疑い。使っていたと見られるソフト「技巧」で検証してみると、三浦九段の指し手との一致率はおよそ93%だった。これでは、疑いの目を向けられても仕方がないが……。

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 事実、「技巧」の不正使用に手を染めていたのなら、なにか切羽詰まった状況に置かれていたのだろうか。

なぜアプリを使ってしまったのだろうか

 観戦記者によると、

「連盟が公表した一昨年の『獲得賞金・対局料ベスト10』では、三浦九段は2089万円獲得の7位にランクインしていました。ですが、昨年はランク外に転落。今年も、A級順位戦では1勝3敗と負けが先行し、A級からB級1組への転落の崖っぷちに立たされています」

 さらに、賞金獲得という面からは、7大タイトルの一つ、竜王戦の挑戦者となることは重要なことだった。

「竜王戦の勝者が手にする賞金は、将棋界最高の4320万円です。負けたとしても、賞金は1590万円。加えて、それぞれには600万円の対局料も支払われる。三浦九段が疑われる背景には、こういった事情があったのではないでしょうか」(同)

■三浦九段は“純朴で誠実”

 しかしながら、誰しもが怪しんでいるわけではない。

 三浦九段の師匠である、西村一義九段に聞くと、

「三浦君は真面目過ぎるほど真面目で、勝負師というよりも研究家肌。だから、将棋ソフトを不正に使ったりするとは信じられません。アマチュアの有段者だったお父さんから将棋の手ほどきを受け、私の門下生になったのは12歳のとき。18歳でプロ入りしたあとも群馬の自宅から東京の将棋会館に通いながら、1日10時間も将棋の勉強を重ねていました」

 服装など将棋以外のことには無頓着で、その風貌から宮本武蔵になぞらえ、“たけぞう”というあだ名で呼ばれていた。

「棋士は、何人かで集まって手筋を研究するものですが、三浦君は一人黙々と詰め将棋などをするのを好むタイプでした。お酒も飲まないし、他の棋士仲間との交流も多くはないので、誤解を招くところがあったのかもしれません。でも、ファンからサインを求められても嫌な顔一つしませんし、羽生さんを破って棋聖のタイトルを取ったときには、賞金のうちから100万円を阪神淡路大震災の救援資金に寄付するような人柄です」(同)

 とにかく、純朴で、誠実なのだという。

「10年ほど前にお父さんを亡くし、一昨年、17歳年下の奥さんと結婚してからは、お母さんと3人、群馬の自宅で生活をしていました。ですが、昨年にお母さんが亡くなり、本人は相当ショックを受けていた。そこに今度の問題ですから、大層落ち込んでいるはずですが、一刻も早く疑いを晴らし、立ち直ってくれることを願っています」(同)

 さて、三浦九段に真相を聞くべく、群馬の自宅を訪ねたものの、雨戸が閉まったままで、インターフォンにも応答はなかった。

 いずれにしろ、一つだけはっきりと言えるのはプロ棋士が怖れるくらいに将棋ソフトが強さを備えたがために、結果的に三浦九段はその名を汚すことになってしまったということである。

特集「次の一手をコンピューターに頼った? 『三浦弘行』九段と93%一致した問題ソフト」より