先輩に電話番号を聞いたらいつまでにかけるのが正解か? 坂上忍が教える「甘え方」

社会 2016年10月28日掲載

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坂上忍さん

「上下関係を気にしない」「受け身でマイペース」「職場の飲み会には行かない」……

“ゆとり世代”とも呼ばれる若者たちが、何かと話題を呼んでいる。新しい価値観の持ち主なのかも知れないが、一方で先輩たちを戸惑わせる場面も多いようだ。

 3歳から芸能界で仕事をしてきた坂上忍さんもまた、昨今の若手タレントの態度に疑問を持っているという。新著『スジ論』(新潮新書)の第2章「礼儀のないガキは仕事場にいらない」から抜粋・引用してみよう。

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 先日、とある番組のロケで共演したイケメンのタレント君に、「電話番号を教えてください!」と言われた。

 正直、嫌だった。だって、本心から知りたそうじゃなかったから。それぐらいわかるし、おじさんをナメてもらっちゃ困るし……。

 ただ、相手が男子だったこともあり、なんとな~く教えてしまったのだ。というか、試してみようとおもった。ロケが終わったのは23時近く。明日の朝までに電話がかかってくれば、一度ぐらいはご飯に連れて行ってあげようかなと……。

 で、結論から言うと、予想通り掛かってきませんでした。正確に言うと、いまだにかかってきておりません。いいんですよ。おじさんはこんなの慣れっこだから。でもね、あえて君達イケメン若人に苦言を呈するならば……。

 もうちょっと甘え方を覚えた方がいいかな~。

■おねだりやタメ口は「甘える」とは違う

 こんなことを言うと、「あんたになんか甘えたくないんだよ!」と言い返されそうだが、だったら電話番号を訊く必要などないのである。そして、訊いたからには即座に留守電にお礼の言葉を残すぐらいの、当たり前の礼儀を身に付けていなくてはならない。

 例えばわたしがMCを務める番組に顔馴染みの先輩が出演してくださったとする。当然、収録終わりにわたしからお礼の言葉をかける。更に帰宅の車中から、重ねてお礼のメールを送る。コレ、当たり前の作業である。

 直接伝えたからいいや、ではない。だって、口では照れついでに甘えが出てしまうから。しかし、文字なら気持ちをより素直に伝えることができるから。

 実際、わたしより少しだけ年下の、わたしなんかよりもスーパー売れっ子の方が、番組終了後に必ず丁寧なお礼のメールをくれるのです。頭の下がる思いとは、まさにこういったことから生まれるものだろう。

 甘えるという行為は、「今度、ご飯に連れてってくださいよ~」ではない。「マジ!」と、中途半端にタメ口を利くことでもない。

 かなり硬い言い方をすれば、当たり前の礼儀をわきまえた者にのみ許された、ある種の特権なのである。

■都合のいい時間軸で行動するな!

「翌朝までにお礼のメールって、ちょっとキツくないっすか?」……いやいや、キツいからいいんじゃない。メール打つ時間なんていくらだって作れるし、仕事の熱が冷めない間に伝えるべきだし……。

 そもそも、自分の時間軸で動いてるからキツく感じるわけでしょ。

 あ~、もう止まんない。そう、今時の若人は自分に都合のいい時間軸で行動する傾向にあるのよね。それ、絶対にダメだから。

「明日の朝、ちょっと早いんだよな~」……そういう時こそ、先輩に付いて行きましょう。「彼女とデートなんです」……彼女に断りの電話を入れましょう。「無茶言わないでくださいよ」……今、無茶をしないでいつするんだよ!ってね。

 だって、実際にやってる子いるし。今、売れてる人達のほとんどは、そういった時代を乗り越えて来た方々ばかりだし。プライベートの時間、自分の時間軸を大切にするのも結構ですが、そうしている間に、格差は生まれているのかもしれませんよ。

 時間だけではありません。自分に都合のいい先輩にだけ付いて行くのもダメです。嫌いな先輩にも一度は付いて行ってみましょう。じゃないと、ほんとうに嫌いかどうかわからないから。

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 結局、坂上さんは、件のイケメンタレントの電話番号を消去してしまったという。芸能人といえば、華やかで個性的で自由奔放に見えるもの。しかし競争の厳しい世界を生き残り、テレビに出続けられる人の多くは、社会人として大事な礼儀や心配りがきちんとできるということなのだろう。

デイリー新潮編集部