慶大卒の「イスラーム預言者」インタビュー 神からの啓示を語る

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

 北海道大学の学生が「イスラーム国」に参加するべく、シリア渡航を計画した一昨年の事件をご記憶だろうか。この時、学生を斡旋した疑いで警視庁公安部の聴取を受けたのが、同志社大学神学部の元教授で、イスラーム学者の中田考氏だった。

 その中田氏は現在、東京・豊島区のあるカフェバーで生活をしている。オーナーは25歳の宮内春樹氏。慶應大学在学中に神の啓示を受けた“イスラームの預言者”であるという。ノンフィクションライターの上條昌史氏がこの2人に取材した「慶大卒『日本人イスラーム預言者』を支える中田考」が、現在発売中の「新潮45」10月号に掲載されている。

 ***

 宮内氏が“目覚めた”きっかけは、2012年1月に電車の中で財布を掏られたことだった。その体験を自身のTwitterにこう綴っている。

「しかし、財布を掏った人物への怒りは一切湧かず『罪を犯すほどに困窮していたのか』と感じ、彼/彼女のことを心から愛しました。その時に、神からの啓示が降りたのです」

「私は聖なる存在だったのだ。俗世間を離脱する」

 上條氏によれば、宮内氏は1990年、千葉県成田市生まれ。〈高校時代、ニーチェ、ウィトゲンシュタインなどの哲学書を読みふける。東京大学及第を目指し勉学に励むが、失敗。一年の浪人期間を経て、慶應義塾大学経済学部に入学〉という経歴を持ち、大学入学後には新左翼活動家として活動。〈活動家時代は、法政大学のデモに参加して、家宅捜索を受けたこともある〉そうだ。※〈〉は本文より引用、以下同

 現在は新宗教団体「ダールルハック(真理の家)」の代表として、日本でのイスラームの布教に務めている。そんな“預言者”宮内氏を、中田氏は支持し、ともに会社まで設立していたのだった。

■宮内氏への取材

 記事では、一問一答の形で宮内氏への取材の模様が掲載されている。

〈――啓示はどういう形であったのか?

「直接脳内に働きかけるというか、動きが制限されるような感じでした。ある特定の動きしかできなくなる。自由がなくなって“啓示を受けた”と言わざるを得なかった」

――そのときTwitterに「啓示が降りた」と書いたが、それも言わされていた?

「そうです。今でもそういう感覚がある。何をするにしても、自分の意思ではなくて、神様の意思で動いていると思う」

――預言者であることは自覚しているのか?

「それは、後世が判断することだと思う(略)自分は本当のことを言っているつもりでも、悪魔に夢見させられているのかもしれない。狂っているのかどうかはわからない。そのへんは、客観的に見ています」〉

 さらには「テロ行為を企てている、と見る世間の人もいるのでは?」との質問にも、

〈「それは全然ないです(笑)。警察の捜査はいつでも喜んで受けますし、疑問点があれば(捜査は)どうぞ、と思います」〉

 と、〈言葉を選びながら澱みなく質問に答える〉宮内氏。イスラーム学の第一人者である中田氏からお墨付きを得た預言者の存在を、「新潮45」がより詳しく紹介している。

デイリー新潮編集部

新潮45 2016年10月号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。