【王将社長射殺事件 黒幕と疑われた男の告白(下)】私を犯人扱いした京都府警

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なぜ、社長は狙われたのか

 犯人扱いした京都府警の刑事は、私のアリバイを聞いてくることもありませんでしたが、大東さんの事件が起こった13年12月19日の早朝は、福岡の会社の寮で寝ていました。つけっ放しのテレビから事件の一報が流れ、私がすぐに『王将』の親しかった役員に電話を入れても、取り込み中でほとんど話はできなかった。

 葬儀には顔を出そうとしましたが、うちの京都の従業員から『騒ぎになっているから、社長は行かん方がいい』と言われたこともあり、断念しました。

 なぜ、大東さんが狙われなければならなかったのか。

 私なりに、京都府警の刑事には知っていることを伝えました。1つは、大東さんが陣頭指揮を執り、『王将』が05年から始めた中国・大連への進出です。すでに、『餃子の王将』という商標権を中国企業に取られている問題があったにもかかわらず、なぜか、6店舗もオープンさせました。しかし、結局のところ、撤退せざるを得なくなったのは、大東さんが現地で経営を任せていた中国人女性やその親族と大揉めになったからです。

 他に、ハワイへの社員旅行に連れて行かれた取引業者が、朝雄さんの妻つまり大東さんの姉からエルメスのバッグをねだられた問題もあった。取引業者がそれを断ると、『王将』からあっさり切られたのです。生活に困った取引業者は飛び降り自殺をしました。

 それらの事実を伝えても、刑事の反応はいま一つでしたが……」

 京都府警捜査1課の刑事は、上杉氏への事情聴取の際、「あんた、同和の人ですやん。同和即反社ですよ」など、氏を挑発するような言葉を繰り返したという。京都府警に“同和即反社”などの発言があったのかを訊ねると、「誰を事情聴取したかも含め、お答えできません」(広報)。また、王将フードサービスは、「調査報告書」がデタラメであるとの上杉氏の指摘に、「第三者委員会による調査結果に基づく報告書について、コメントする立場にありません」と言うのみ。

「反論の機会も与えられないままに犯人だと決めつけられ、私は社会的信用を失いました。そのため、資金繰りにも窮し、現在、経営するゴルフ場が乗っ取られる危機に瀕しています。

 この汚名をそそぐには、事件解決を待つよりほかないのです」

特集「『餃子の王将』社長殺人の黒幕と疑われた『美空ひばり』最後の後見人の告白」より

週刊新潮 2016年9月22日菊咲月増大号掲載

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