「お米ヨーグルト」で腸内環境をコントロール 「ドクター秋津」が伝授する3大疾病予防に最強のドリンク(下)

食・暮らし週刊新潮 2016年7月21日参院選増大号掲載

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 気鋭の内科医・秋津壽男医師(62)が伝授する、心筋梗塞・脳卒中・がんの「3大疾病」予防に最強のドリンク。前回紹介した黒豆茶は、秋津医師自身も十数年飲み続けているもの。「ファイトケミカル」が豊富に含まれ、動脈硬化の予防などに効果が期待できるという。

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 さて私には、もう1つ実践しているドリンク健康法があります。その名も「お米ヨーグルト」といい、これは後に詳しく述べる「腸内フローラ(お花畑)」とも、大変密接な関係にあるものです。

気鋭の内科医・秋津壽男医師(62)が伝授

 お米ヨーグルトを知ったきっかけは、千葉県神崎(こうざき)町にある日本酒の老舗蔵元「寺田本家」さんが作っている「米グルト(マイグルト)」を飲んだことでした。日本酒は米と麹と水を混ぜ、発酵させて造りますが、このお米ヨーグルトは、アルコールに変わる前の段階で発酵を止めて「できあがり」としたもので、つまりは「もろみ」のこと。ここには乳酸菌や麹菌が多量に含まれています。本来のヨーグルトは動物のミルクを乳酸発酵させたものですから、似て非なるものではありますが、もろみは乳酸菌に富んだ発酵ジュースともいえるので、あえて「お米ヨーグルト」と呼ぶことにしましょう。

 肝心の味は甘酸っぱく、例えればちょうど甘酒のような口当たり。実際にこの両者は、製造過程においては加える温度にしか違いがありませんから、お米ヨーグルトは甘酒の“兄弟”といったところでしょうか。

 その甘酒も、「飲む点滴」という別名があるほど栄養に富んでいます。ビタミン類、必須アミノ酸、ブドウ糖、ミネラル、食物繊維などなど、非常に良い成分が含まれていることから、ここ数年はブームになっています。ただ、やはり健康の観点からいえば甘みを含み過ぎていますし、何よりもアルコールが入っていれば毎日飲み続けるのが困難な人もいるでしょう。

 そうした甘酒の栄養成分を全て持ち合わせながら、普通のヨーグルトに含まれる乳酸菌まで加わっているのですから、お米ヨーグルトもまた、黒豆茶と同じく「いいとこ取り」の効能が期待できるというわけです。

■腸内の「陣取り合戦」

お米ヨーグルトもまた、黒豆茶と同じく「いいとこ取り」の効能が期待できる

 ところで人間の腸には、およそ1000種類、個数にして100兆以上の細菌が棲息しています。近ごろはその環境が「腸内フローラ」と称され、何かと話題になっています。

 それらの細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌など大腸に有益な「善玉菌」、腸の中で栄養素を腐敗させ、有害物質を生み出すブドウ球菌などの「悪玉菌」、そして腸内の状況にあわせて役割を変える「日和見菌」に大別されます。それぞれ、成人では2対1対7の割合が理想とされています。私たちの腸では、細菌の数はある程度一定に保たれており、その中で善玉菌と悪玉菌とが、一方が増えれば一方が減るといった「陣取り合戦」を、間断なく繰り広げているのです。

 では、このお花畑が“荒らされる”とどうなるか。

 腸内に悪玉菌が増えると、アンモニアや硫化水素、インドールといった老化や病気の原因になる物質が作られ、腸から吸収されてしまい、血液に運ばれて体中を巡ります。やがて肝臓や膵臓、腎臓など、解毒を請け負ってくれるはずの臓器にダメージを与え、生活習慣病やがんなどの病気を誘発する原因にもなる。

 さらには善玉菌の減少に伴って、日和見菌も悪玉菌に加勢し、勢力が一気に強まるという悪循環を引き起こします。

 また、体内に入った病原体などの異物を退治し、身体を健康に維持する「免疫」のシステムにも異変が生じます。免疫を受け持つ細胞が体内で最も多く備わっているのが腸で、身体全体の70%といわれています。そのうち半分が小腸にあり、最近、このシステムを左右しているのが腸内細菌で、大腸の善玉菌が小腸の免疫機能をサポートしていることがわかってきました。つまり腸内フローラが免疫の調節に深く関わっていて、これが乱れると、がん細胞やウイルス感染細胞などが発生しても抑制が効かず、症状を悪化させてしまう。

 そうした事態を引き起こさないためには、つねに善玉菌が優勢を保てるよう、腸内環境を絶えずコントロールしていかねばなりません。お花畑の調和が保てれば、自律神経も働きを全うでき、ひいては免疫力アップへと繋がるのです。

■ミルクよりお米が合う

 そんな状況にあって、お米ヨーグルトは乳酸菌を多く含んでいるため、まさしく善玉菌を作り出すための飲み物といえます。もちろん普通のヨーグルトも効果的ではありますが、牛乳やチーズなど乳製品が苦手な人もいるでしょう。そもそも動物性であるため、植物性のお米ヨーグルトに比べると、消化には時間がかかり、どうしても腸への負担が大きくなってしまう。強いて挙げれば、そこが難点でしょう。

 日本人は、太古の昔からお米を食べて暮らしてきました。ですから私たちの腸には、西洋発祥のヨーグルトより、お米由来の乳酸菌がフィットします。つまり、お米ヨーグルトの方が、日本人の腸内フローラをよりよく整えられるのです。先ほど「甘酒のような味」と述べましたが、酵母から生まれる独特な甘みのおかげで、砂糖など甘味料を加えなくてもナチュラルな味が楽しめ、子供からお年寄りまで安心して毎日飲み続けることができます。

 美容に関心のある女性なら「ターンオーバー」をご存じでしょう。肌が生まれ変わるサイクルを意味し、いわゆる新陳代謝のことです。人間の細胞は一般的に1~3カ月で入れ替わります。その間、お米ヨーグルトを飲んだ後の細胞は、以前のものより生命力が強化されていることでしょう。まずは1週間飲んで問題がなければ、今度は3カ月続けてみてください。

 黒豆茶であれ、お米ヨーグルトであれ、味を楽しみながら健康を保っていくことができれば、それが最も素晴らしいスタイルであることは論を俟(ま)ちません。あるいは、黒豆と同じ効能が期待できる黒ゴマを、お米ヨーグルトに混ぜて飲むのもいいでしょう。擂(す)ったゴマであればより栄養を摂取しやすくなります。実はこれが私の朝食で、もう何年も続けている習慣です。

 そうした日々の積み重ねが、10年、20年先の健康を築いてくれるのです。

「特集 『ドクター秋津』の3大疾病予防に最強のドリンク2品」より

秋津壽男(総合内科専門医・秋津医院院長)