“鳩山邦夫補選”自民は次男を擁立せず…麻生太郎の狙い

政治週刊新潮 2016年8月11・18日夏季特大号掲載

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 さしずめ、漢軍に囲まれた項羽の心境ではないか。

「選考委員会のあり方が公平だったのか、疑問です」

 7月31日に福岡・久留米市の事務所で会見を行った故・鳩山邦夫氏の次男の二郎氏(37)は、遺影を前にしてこう不満をぶちまけた。政治部デスクが言う。

「邦夫氏の死去による衆院福岡6区の補選に、自民党県連は選考の末、蔵内勇夫県連会長の息子である謙氏を擁立することに決めたのです。さっそく選対が発足し、本部長は麻生太郎氏、選対顧問は古賀誠氏。一方、大川市長である二郎氏は無所属での出馬を表明しました」

父も泣いている

 二郎氏が後を継ぐと見られていたが、ある県議は、

「謙さんは林芳正参院議員の秘書を務めていた上に、留学経験もあり、語学も堪能です。満場一致でした」

 この決定にはある事情があった。地元政界関係者は、

「もともと福岡6区は古賀誠さんの地盤ですから、古賀さんにすれば、子飼いである蔵内さんを擁立したかった。麻生さんも邦夫氏との関係が良かったとは言えない上、二郎さんは出馬にあたり、二階派の国会議員と接触していたとされる。そこで、彼を追い落とすため、利害が一致したのです。7月27日、謙氏は麻生派の大家敏志参院議員のアテンドで財務省を訪れ、麻生さんに挨拶をしています」

 つまり、“鳩山落選”の舞台は設えられていたワケ。

「麻生さんはいずれ長男の将豊(まさひろ)氏に福岡8区の地盤を引き継ぐとされていますが、地元では未だに古賀さんの影響力が強い。古賀系である蔵内会長は県連のドン。その息子に恩を売ったことは、麻生家の代替りの際に有利に働く」(同)

 さらに、

「謙氏が当選すれば麻生派に入る可能性もある」(同)

 四方を囲んだのは、権謀術数に長けた猛者だった。