〈生前退位 私の考え〉私のことなき公の精神――吹浦忠正(評論家)

社会週刊新潮 2016年7月28日号掲載

 天皇の生前退位という議論を提起できるのは、天皇陛下ご自身以外にはあり得ません。

 おそらく陛下は、生前退位の問題は、何としてでもご自身がやらなければならないという強い公的使命感をお持ちなのではないかと拝察します。

 思い起こせば、私が東宮御所に初めてお招きいただいたのは1972年、今から40年以上も前のことになります。バングラデシュが建国されて間もない頃で、たまたま国際赤十字の仕事でダッカから帰国したばかりだった私は、天皇皇后両陛下(当時は皇太子・同妃両殿下)にバングラデシュという国についてご進講をさせていただくことになったのです。

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