退位スクープ記者の異名は“陛下の体温を知る男”?〈生前退位の大疑問〉

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 平成が終わるかもしれない。そんな事件を夜7時のニュースで立て板に水のごとく解説する記者に、ライトがぐっと強めに当てられているようだった。主役然とし、【橋口和人 社会部 宮内庁キャップ】とテロップで紹介された彼は、当代一のスクープ記者として知られる。

「1991年入局で、これまで愛子さまの性別、紀子さまの悠仁親王ご懐妊を一番に報じてきた。それ以外にも例えば、北朝鮮に娘を拉致された横田さん夫妻の担当として、厚い信頼を得ていましたね。他社の記者が朝5時から取材現場に顔を出すところを3時から待ち構えている……そんな男です」

 とNHK関係者。そういった取材力を皇室分野でも遺憾なく発揮、ついた異名が「陛下の体温を知る男」。

「宮内庁関係者のみならず、病院や医師にもネットワークを張り巡らせていたからでしょう。広島放送局に勤務しているときは、『ネタ元』に松葉ガニを贈るなどしていました」(同)

 別の関係者が後を受け、

「今年の春頃から皇室担当の布陣を厚くしていたのは事実。通常2人のところ、他との兼務も含めれば、その3倍になっていましたから。これは、報道局幹部が“災害ならびに皇室報道に注力するべきだ”と号令しているのと無縁ではありません」

 とし、こう続ける。

「今回の報道が、参院選後の時機を捉えたという見方は必ずしも当たっていない。取材が煮詰まっており、『生前退位』という情報に触れている人が徐々に広がっていたことを受け、“そろそろ”となったんです」

 橋口記者はメールが苦手で電話魔。菊のカーテンを潜った後の身過ぎ世過ぎに役立ったのか。21世紀を生きる我らには、それもまたミステリーである。

「特集 『天皇陛下』生前退位に12の大疑問」より

週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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