NHK「あさイチ」でも話題 ベストセラー本ぞくぞく…なぜ今「アラハン」本が人気なのか

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 家事評論家・吉沢久子さん(98歳)、美術家・篠田桃紅さん(103歳)、日本初の女性報道写真家・笹本恒子さん(101歳)…… 昨年頃から、100歳前後の著者が書いた本の売れ行きが好調だ。御年94歳の瀬戸内寂聴さんが若さと長寿の秘密を綴った『老いも病も受け入れよう』(新潮社)も、5月31日の発売から1週間で4刷の勢いだという。こうした「アラハン(=アラウンド・ハンドレッド)本」と呼ばれる書籍が受ける理由は、どこにあるのだろうか。

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 アラハン本のブームは今年3月に放送されたNHK「あさイチ」でも特集され、吉沢さん、篠田さんが紹介された。吉沢さんはこれまで老年世代の生き方について多くの著作を上梓し、この7月にも『もうすぐ100歳、前向き。 豊かに暮らす生活術』(文藝春秋)を出版予定。一方の篠田さんも、『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎)が50万部を超えるヒットだという。

 また、笹本さんも根強い人気を誇る“アラハン作家”。アラハン本ならぬアラハンカレンダーの『笹本恒子、101歳。バラ色の人生 いつまでも楽しく生きるための毎日のヒント。』(講談社)では、笹本さんがこれまで行ってきた若さと健康のための心がけを、日めくりの形で知ることができる。

『笹本恒子、101歳。バラ色の人生 いつまでも楽しく生きるための毎日のヒント。』(講談社)、『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎)

 前述の瀬戸内さんの著作を手がけた編集者は、アラハン本出版の“狙い”をこう語る。

「読者は50代以上の女性が中心です。自分自身の老いの始まりに加えて、親の病や介護の問題が重くのしかかってくる世代には、それらの問題を前向きに乗り切るための希望となる指針が必要とされています。94歳の瀬戸内寂聴さんでも、あまりの痛みにウツになりかかった、病になって初めてわかったことがある、と書かれているのを読むと、どんな境遇にあろうともすべてを受け入れ生きていく、という力が湧いてきます。元気な笑顔の寂聴さんの言葉に、励まされる人が多いようです」

 では、瀬戸内さんご自身は、こうしたブームをどう受け止めているのだろう。

「私が90歳過ぎて背骨の骨折とガンになって、それでも今こんなに元気でいられるのを、みんなが奇跡的だ、どうやって治したのか、と訊いてきます。だから、私の闘病の経験を書けば、同じように病の人や年を取った人の役に立つかと思って、この本を出しました。私はいろいろな本を書いてきたけれど、自分の身体のことを書いた本は初めてなんです。なるべくわかりやすく、元気の秘訣やリハビリのことを書いたので、読んで前向きになれた、自分もきっと病気を治してみせる、とたくさんの人に喜んでもらえたのがよかったです。いま日本に100歳以上の人は6万人もいるそうですから、みんながなるべく自分のことは自分でして、気持ちをしっかり持って生きていくように、この本を参考にして少しでも安心してもらえたらうれしいです」

 老いや健康に対する不安は、誰しもが抱くもの。人生の先輩による「アラハン本」には、生きる上でのヒントが記されているのかもしれない。

デイリー新潮編集部

2016年6月16日掲載

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