瀬戸内寂聴さんが94歳に 闘病で「ウツになりかけた」

ライフ2016年5月21日掲載

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 5月15日、作家の瀬戸内寂聴さんが京都市の寂庵にて、およそ160人を前に法話を行った。

 この日、94歳の誕生日を迎えた寂聴さん。「まさかこんなに生きるとは」「(法話をするのは)これで最後だと思っているの」など自虐発言で会場を沸かし、「愛するために人は生きるの」と語った。

 法話は1時間半ちかくに及び、安倍政権への批判、先ごろ呼びかけ人に名を連ねた女性支援のためのネットワーク「若草プロジェクト」についてのほか、自身の健康にまつわる話題も。88歳で腰椎圧迫骨折、92歳で再び背骨の圧迫骨折、胆のうガン切除手術を経験し、二度の寝たきり生活の経験がある寂聴さんは、“さすがにウツになりかけた”と闘病を振り返る。

160人を前に法話を行う瀬戸内寂聴さん

「普段、身の上相談されているから(自分がウツだと)わかるの。“もう嫌だ”とか“早く死んだほうがマシ”とか思ってね。なにか陽気なことを考えよう、って」(寂聴さん)

 こうした経験に基づいて書いた『老いも病も受け入れよう』(新潮社)が、5月31日に出版される。94歳を迎えた寂聴さんが若さと長寿について初めて綴ったその思いは、本のタイトルにもこめられており、

「人間は老いるし、病気にもなる。なりたくなかったら早く死ねばいいの。結局、反対したってなる。いかに私が病気の時に嫌な思いをしたか、苦しかったか、友達から優しくしてもらって嬉しかったか、その辺を全部書きました」

 すべてを受け入れたという寂聴さんは、闘病中も、“仕方ないから戦わなかった”という。法話では質疑応答の場が設けられ、参加者からの人生相談が寄せられたが、そんな人々に寂聴さんはこう説くのだ。

「お釈迦様は、この世は苦だとおっしゃってらっしゃいますからね。苦しみがないっていうのは、ちょっとおかしい(笑)。でも、それが人生ですからね。私一人がこんな目にと思わないで、これが人生だと思って生きてください」

デイリー新潮編集部