自分にまったく自信が持てません(26歳女性)――教えて!寂聴先生「人の言うことを気にしないで」

老いも病も受け入れよう~瀬戸内寂聴先生 お悩み相談~2016年6月2日掲載

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御年94歳! 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん

 作家で僧侶である瀬戸内寂聴さんのもとには、毎日たくさんの悩み相談が寄せられます。寂聴さんが94歳で行きついた境地を語ったエッセイ『老いも病も受け入れよう』刊行を記念し、寂聴さんに届けられた相談のいくつかにお答えを頂きました。

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【人の目が気になって、(あれやこれ)が出来ない。】

 とても厳しい親に育てられたせいか、自分にまったく自信が持てません。なにか新しく始めようと思っても、なんだか人の目が気になって、いつも最初の一歩を踏み出すことが出来ないのです。寂聴先生、どうかこんな私の背中を押してください。(26歳女性)

●人の言うことを気にしない

 このあいだ婦人雑誌の表紙のため、久しぶりに篠山紀信さんに撮影してもらいました。その時は93歳で老婆の表紙なんてイヤだとずいぶん断ったのですが、遺影を撮り直してもらうつもりで引き受けました。その撮影の際にメイクさんに勧められて、つけまつ毛をしてもらいました。そうしたら、自分でびっくりするくらい目がぱっちりして、きれいになったんですよ(笑)。90歳過ぎてつけまつ毛なんて、と言う人はいるでしょう。でも気にしません。

 あなたのように自分のしたいことを出来ないという人は多いです。でも、人間が生まれてくるのは、必ず死ぬためです。どうせ死ぬなら、好きなことをしなければ損でしょう。

 髪の毛を紫にしてみたかったら染めてみる。真っ赤な服を着たかったら着てみる。新しい店があれば入ってみる。アイドルのコンサートに行ってみる。好きな人に告白してみる。遠いところへ旅行してみる。デモに参加してみる。つけまつ毛をつけてみる。

「つけまつ毛しましょうか?」と言われて、「そうね、つけてみようか」なんて言えるのはやっぱり好奇心があるからでしょうね。

 人の言うことを気にせず、好奇心のまま、自分のしたいことをしましょう。

 私は人一倍、負けず嫌いなので、若い子が私の知らない楽しそうなことをしていると、気になって自分もやりたくなってしまいます。そういう大人げないところも好奇心があるといえば、そうですね。

 面白いこと、好きなことをすれば、気持ちが高揚して楽しく明るく自然に笑顔になります。人の言うことを気にせず、自分のしたいことをする。それが若さと元気の根源です。あなたはまだ若いのですから、ためらわないで進みなさい。

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『老いも病も受け入れよう』は老いや病についてだけでなく、愛すること、別れること、生きること、そして死を迎えることすべてについて寂聴さんが94歳で行き着いた「すべてを受け入れよう」という境地が語られています。近年脊椎の圧迫骨折やガンの摘出手術などの闘病を乗り越え、これまで考えてきたこととはまた違った心境に至った寂聴さん。同書はこれまでの寂聴ファンも寂聴さんの言葉に触れたことのない人も、新鮮な気持ちで読める一冊です。

デイリー新潮編集部