小保方晴子さんも癒やされた、瀬戸内寂聴の「受け入れる力」

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 STAP細胞論文の不正問題をめぐって理化学研究所を退職した小保方晴子さんと瀬戸内寂聴さんの対談が、5月24日発売の雑誌「婦人公論」に掲載された。

 手記『あの日』を発表した際にも姿を現さなかった小保方さんだが、瀬戸内さんの呼びかけに応え、約2年ぶりにメディアの前に現れたことは、大きなニュースになった。

 寂聴さんが、「婦人公論」に連載している「わくわく日より」で小保方氏にエールを送ったことがきっかけで実現したカラー7ページにわたる対談のタイトルは、「小保方さん、あなたは必ず甦ります」。小保方さんの著書『あの日』を読んで、ぜひ小保方さんと直接会って話したいと思ったのだという。

小保方晴子さん

 寂聴さんからの熱いラブコールに応えた小保方さんは、白いミニのワンピース姿で、以前よりかなりほっそりした印象だ。だが、

「先生にお会いするために、私、食べなくちゃいけないと思うようになって。私眠らなきゃいけない、私生きないといけないわ、と思ったのです。体重は4キロ戻りました」

 とかねてから尊敬の念を抱いていた寂聴さんとの対談が生きる支えとなっていたことを語っている。あまりのバッシングに、一時期は死さえも身近になったという小保方さんだが、毎日を生きるのに必死になっていた折りにも、昨年の寂聴さんの入院のニュースを耳にしたときは、早く元気になってほしいとお祈りをしていたそうだ。

 小保方さんよりよほど元気に見える寂聴氏も、御年94歳。腰椎圧迫骨折や胆嚢癌の手術を経て、死の淵から奇跡的な生還を果たしたばかりである。

御年94歳! 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん

 作家デビュー第一作『花芯』を発表した当時、やはり世間から激しい反発を受け、文芸誌から5年間干された経験がある瀬戸内さんは、自らの経験を織り交ぜつつ、「負けたらだめなのよ、上を向いて生きなさい。手鞠を落としたら跳ね返ります。どん底まで落ちたら跳ね返るしかないのです」と今も自由に外出すら出来ない小保方さんを励ましている。

 小保方さんは、寂聴さんと話すことによって癒やされ、「私、忘れようとしていたのですよ。記憶をどこかに捨ててしまいたいと。でも、私はこの記憶とともに生きていくのですね」と、現在の自らの境遇を受け入れ、最後には、「小説の書き方を教えてください」と、未来についての希望も口にしている。

 寂聴さんは、病気と闘った日々から学んだすべてを綴った最新刊『老いも病も受け入れよう』の中でも、

・やせてはいけない

・寝込んでいる間に、自分と向き合う

・「日にち薬」は効く

・絶望するな

・人の言うことを気にしない

・祈りは人のために

 など、辛いことが多い日々であったとしても、前を向いて歩くためのヒントを35項目に綴っている。

 激しいバッシングを受けた小保方さんを癒やしたのは、老いや病というどうしても逃れられないマイナスさえも糧として「受け入れる力」、寂聴さんの強さなのかも知れない。

デイリー新潮編集部

2016年5月27日掲載

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