定年を過ぎたが気になる人が。まだ恋愛してもいい?――教えて!寂聴先生「ときめきはいつまでも」

老いも病も受け入れよう~瀬戸内寂聴先生 お悩み相談~2016年5月30日掲載

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御年94歳! 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん

 作家で僧侶である瀬戸内寂聴さんのもとには、毎日たくさんの悩み相談が寄せられます。寂聴さんが94歳で行きついた境地を語ったエッセイ『老いも病も受け入れよう』刊行を記念し、寂聴さんに届けられた相談のいくつかにお答えを頂きました。

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【定年を過ぎたが気になる人がいる。まだ恋愛をしてもよいのだろうか。】

 5年前に妻を亡くしました。再雇用先の会社を定年退職したあとに入った山登りサークルで出逢った女性のことが気になっています。お相手もご主人に先立たれたそうで、とても話しが合います。年甲斐もなく、サークルの集まりの前になると心が浮き立つ自分を感じています。瀬戸内さんは、この年になって、恋愛をすることをどう思われますか。(67歳男性)

●ときめきはいつまでも

 寂庵へ身の上相談に来る人には、八十歳を過ぎても恋愛の悩みが多いのです。

 お釈迦さまは恋愛するから悩みが生じる、孤独に生きる方が良いと仰っていますが、お釈迦さまは若い頃は王子様で、女をたくさん与えられて、女の美しさや愛も、恐ろしさや醜さも、絶望するほど味わい尽くしたのでしょう。

 私は今でも男に絶望なんかしていません。男運が良かったと今も思いますし、一人残らずみんな亡くなりましたけれど、思い出の中では今も生きています。

 性を伴う恋愛はなくても、誰かを思う気持ちはあった方がいい。ドキドキしたり、ワクワクするときめきは、何歳になってもある方が楽しい。素敵な方と知り合えて幸せですね。その方を大切にして下さい。

 何歳になっても恋心を忘れない。ドキドキ、ワクワクは、いつまでも!

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『老いも病も受け入れよう』は老いや病についてだけでなく、愛すること、別れること、生きること、そして死を迎えることすべてについて寂聴さんが94歳で行き着いた「すべてを受け入れよう」という境地が語られています。近年脊椎の圧迫骨折やガンの摘出手術などの闘病を乗り越え、これまで考えてきたこととはまた違った心境に至った寂聴さん。同書はこれまでの寂聴ファンも寂聴さんの言葉に触れたことのない人も、新鮮な気持ちで読める一冊です。

デイリー新潮編集部