“いま外貨預金をやるのは100%ダメ”経済評論家・山崎元氏が指摘 アベノミクス下の投資法は通用しない

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 その日の株が上がるのか下がるのか。プロはだしの投資家が目安にしている「指標」をご存じだろうか。

〈外資系証券寄り付き前注文動向〉

 インターネットで検索すれば無料のホームページで見ることが出来る。指標は株式市場が開く前(午前9時前)に、外資系証券からどれだけの注文が来ているか一目で分かるようになっている。買い注文が売り注文より多ければ、その日の株価は上がりやすく、逆なら下がりやすいと言われている。なかでもデイ・トレーダーは、この指標を見て一日の投資プランを立てる。

 シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト・田代秀敏氏が言う。

「日本株の約3割は外国人が保有していますが、外国人は売買の約7割を占めており、主力はゴールドマン・サックスなどの大手金融機関です。つまり、彼らが買うのか売ってくるのか、その動きによって日本の株価は左右されるのです」

■外貨預金は退場

 その、外国人投資家が最も気にするのが「為替」である。

 日経平均株価の動きは円安だと株価が上がり、円高なら下がることが知られている。実際、円ドルの為替レートと日経平均株価のチャートを重ねると、きれいな相似形になる。今年の1月には1ドル120円だった円が4カ月で106円台に急騰すると、合わせるように株価も暴落したのはご存じのとおりだ。

 では、外国人投資家は日本円をどう見ているのだろうか。

「5月中旬、欧州の大手金融機関が取引先の機関投資家に送ったレポートにはっきり書かれています。そこには『3カ月後に1ドル105円まで円高が進み、その後は横ばい』、『2016年5月現在の円ドル為替レートの適正水準は、1ドル100円程度と算出された』とあります」(同)

 レポート通りならば、秋口までにさらに円高が進み、瞬間的には1ドル100円という事態もあり得ることになる。だとすれば、これまで資産運用の“主役クラス”だった外貨預金は、退場してもらうしかない。

 経済評論家の山崎元氏によると、

「そもそも、外貨預金は他の金融商品と比べても手数料が高いのです。円安では差益が出るからまだいいとしても、円高になると手数料のぶんだけ損失が加速する仕組みです」

 たとえば、メガバンクでドル預金をすると、1ドルあたりの手数料が1%以上。ドルの政策金利の約0・5%を差し引いてもマイナスからの運用になる。

「いま、個人レベルで外貨預金をやるのは100%ダメ」

 と山崎氏は手厳しい。

 円安の潮目はもはや変わっている。アベノミクス下の投資法はもう通用しないと考えた方がいい。

「特集 日経平均が千鳥足の季節に『資産防衛ガイド』」より

週刊新潮 2016年6月2日号掲載

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