久しぶりに登場した小保方さんのニュースをどう見るべきか 情報の専門家・伊藤洋一さんのアドバイス
STAP細胞の「発見者」である小保方晴子さんが、久しぶりにメディアに登場したことが大きなニュースになっている。雑誌『婦人公論』に掲載された、作家・瀬戸内寂聴さんとの対談では、一連の騒動を振り返り、当時から今に至るまでの辛い体験を告白している。また、瀬戸内さんの温かい励ましに涙する様子の写真も掲載されている。
この対談を、テレビのニュースなども大々的に取り上げ、「女性たちはどう感じたか」という切り口で街頭インタビューを行なう番組もあった。
小保方晴子さん
しかし、STAP細胞について考える際に、このような切り口に意味はあるのだろうか。
ニュース番組などのコメンテーターとしても活躍しているエコノミストの伊藤洋一氏は、著書『情報の強者』で、小保方さんについて次のように述べている。
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STAP細胞騒動の時には、かなり早い段階で、その存在について疑問の声が上がっていた一方で、小保方さんを信じて「いじめるな」といったことを言う人もいた。
あれほど重要な論文で「コピペ」などの欠陥が次々見つかるのはおかしい。だから論理的に考えれば、存在に疑問を持つのは当然である。
一方で、小保方さんを信じようとした人の考えはどうだったのだろうか。
・あんなに若い(可愛い?)女性が、そんなに悪いことをするはずがない。
・すぐにバレるようなウソをつくメリットが彼女にはない。
・若い才能をすぐに潰そうとするのは日本社会の悪い癖だ。
・メディアはいつも持ち上げた後に、引き摺り下ろす。不愉快だ。
こんなところだったように思う。いずれも気持ちはわかるのだが、科学に関する問題を論理的に考えていく上ではほとんど意味がない。
論文の正統性と「かっぽう着」「小保方氏の動機」「日本社会の特性」「メディアの習性」はいずれも関係がない。
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伊藤氏は、このように論理的に関係のない要素にとらわれることは、本質を見るうえで邪魔になる、としている。そしてニュースを見る上で心がけるべきは、自分自身の「ループ」を作ることだ、とも述べている。ループとは複数の情報を結びつけて作る、自分なりの仮説、ストーリーのこと。そして、その際に必要なのは「先入観や好みを取り除いて、論理性のもとに作る」という姿勢だという。
小保方さんが報道で苦しんだことや、著作『あの日』がベストセラーとなったことと、STAP細胞の存否には何の論理的なつながりもないことは言うまでもないだろう。