朝日新聞が北朝鮮“出禁”だったワケ…怒りを買った記事

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 北朝鮮で36年ぶりに開かれた「朝鮮労働党大会」。10カ国から120人を超す報道人が平壌入りし、連日、平壌市民や街の様子を報じていた。が、なぜかアノ新聞社の現地報道がない。

 全国紙記者が言う。

「日本のテレビは各局が入っていますし、新聞と通信社も、北朝鮮に批判的な読売、産経を除けば、毎日、日経、時事、共同が平壌から発信しています。ただ、来ていてもおかしくないはずの朝日は、ソウル発信の記事ばかりです」

 かつて、「ジャーナリスト宣言」をした朝日ならば、現地に足を運んでしかるべき。いったい何があったのか。

 朝日新聞社に聞くと、

「取材の経過などについてのご質問には、原則としてお答えしておりません」

 聞かれてマズイことでもあるのかと勘ぐりたくなるが、早稲田大学の重村智計名誉教授によれば、

「今、朝日新聞が連載している記事に、北朝鮮側が頭に来たんだと思います」

 その記事とは、4月から始まり、日ごと連載されている《北朝鮮を読む KCIA秘録》。韓国の情報機関「KCIA」(韓国中央情報部)に在籍した「北朝鮮を最も知る男」の証言によって、北朝鮮の本質に迫るという、なかなか読み応えのある記事だ。

 とはいえ、北朝鮮にとって、KCIAは激しい情報戦を繰り広げた相手。称賛するような記事を載せられては、面白いはずがない。怒りを買い、今回、一団から外されたというのである。

「本国の意を受けた朝鮮総連がメディアの選別をします。以前は、朝日新聞は優先的に入国できていました。北へのシンパシーがあるうえ、協力的と思われていたからです。今回、取材に入れなかったことからすると、北朝鮮と決別したということになりますね」(同)

 取材に行った他のメディアは、肝心の党大会の会場取材はシャットアウト。北朝鮮の宣伝に利用されただけで終わりそう。

 たまには、やるなあ! ジャーナリスト。

週刊新潮 2016年5月19日菖蒲月増大号掲載

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