中国猛反発「我が国の歴史に触れて進歩しろ」 英女王の「中国は無礼」発言で

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 英国王室の放言といえば女王の夫、エディンバラ公フィリップの独壇場だった。訪れた北京の街の感想を求められては「Ghastly(ぞっとするね)」と返し、中国留学中の自国学生には「ここにあんまり長くいると目が細くなってしまうよ」と声をかけるなど、ユーモア好きの英国民もギョッとする失言は枚挙に暇(いとま)がない。

「ところが今回は女王の異例の発言が反響を呼んでいます。バッキンガム宮殿での園遊会でエリザベス女王が傘をさしながらロンドン警視庁の女性長官と言葉を交わした際に、女王が中国は“とても無礼(very rude)”と発言。BBCがその場面を放送したため、連日報道が過熱しています」(在英ジャーナリスト)

 即位から64年、政治や外交に関してことに発言に慎重だった女王がなぜ無防備な発言を、と国民の驚きは大きかったようだが、そもそもの原因は中国側にある。

「昨年10月の習近平・中国国家主席訪英にあたっては、事前に英国初の女性駐中国大使や、警備責任者だったこの女性長官が中国代表団と折衝しています。が、その際、条件が折り合わないことに業を煮やした中国側が“訪問は取りやめだ”とだけ言い残して、席を蹴って出て行ってしまったことがあったのです。彼女からその経緯を説明された女王は、“知っていましたよ”“彼らはとても無礼でしたね”とねぎらったのです」(同)

 こうしたやりとりがマイクに拾われていたことを女王が知っていたかどうかは定かでないものの、礼儀を重んずる英国民は、

「女王の発言に胸がすっとした、溜飲を下げたというのが大方の反応です」(同)

 だが、“中英黄金時代の幕開け”と鼻高々だった中国は猛反発だ。会見こそ“公式訪問は大成功だった”と平静を装ったものの、中国国内でのBBCの該当ニュースはブラックアウトさせ、共産党の機関紙である環球時報は英国メディアをヒステリックに批判。

「〈英メディアはゴシップ好きの野蛮人〉〈中国5000年の歴史に触れ続ければ英国も進歩する〉といった中国側の罵倒も、〈傘がパラボラアンテナの役割を果たしたか〉といった珍説と一緒に、英国では冷静に報じられていますよ」(同)

 英国の紳士淑女は事態を慇懃にお楽しみのようだ。

週刊新潮 2016年5月26日号掲載

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