「公私混同」「アルバイト」は当たり前 中国人の驚くべき職業倫理

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 以前、日系企業で働く日本人と中国人とが「時間厳守」を巡ってトラブルが起きてしまう事例をご紹介した。日本人は「取引先との打ち合わせに遅刻するなんて許されない」と考えるが、中国人は、「日本人は遅刻に対して異常に厳しい」というのである。

 それ以外にも、日本人が「当たり前」と思っているが、日系企業で働く中国人が「厳しい」と捉える「掟」があるという。以下、現代中国人についてディープな分析をした『中国人の頭の中』(青樹明子・著)から引用してご紹介しよう。

(1)「公私混同するなかれ」という掟

「公私混同するな」は常識だと感じる方も多いだろうが、中国では必ずしも通用しないようだ。

 北京の日系企業駐在員Bさんは、社内の中国人30代男性スタッフが、しばしばこんな理由で、遅刻・早退申請をしてくるのに驚くという。

「明日の会議、欠席させてください。妻が妊娠中なのでね、超音波検査に付き添って行くんです」

「来週の打ち合わせは参加しなくてもいいですよね。その日は自動車教習所の予約が取れたので。妻を病院に送っていくために、急いで免許を取らなきゃ」

 出産に立ち会いたい、というのならまだしも超音波検査や自動車教習所通いのために、という理由はなかなか日本では理解されないだろう。

 しかしBさんは、摩擦を起こすよりはと、遅刻・早退申請を許可することにしたという。

(2)「アルバイトは時間外に」という掟

 アルバイトは禁止、というのは一般企業では当たり前だが、そもそも勤務時間内のアルバイトだって問題なし、と考える中国人は珍しくない。

 広東の某日系企業では、30代前半の中国人男性を、主に通訳・翻訳者として雇用していた。週に3日、1日数時間の拘束で事務職員の給料の2倍という、かなりの高待遇である。

 通訳は専門性のある職業なので、彼にはアルバイトが入りやすい。会社も本業に差支えない程度では大目に見ていたのだが、ある日彼がこんな要求をしてきたという。

「週に3日の出勤日を月火水から、週後半の水木金に変えてくれませんか。週の前半はアルバイトが入りやすいんです」

 言われた日本人のCさんは、これまでの常識が崩れていく音が聞こえた気がしたという。これだけでも酷い話だが、さらに別の日。Cさんが会議があるので通訳として立ち会って欲しいと頼むと「その日は都合が悪い」と断られた。仕方がないので会議を延期し、Cさんは空いた時間に他社の新製品発表会に出かけてみた。

 Cさんが会場に足を踏み入れた瞬間、聞きなれた声が聞こえてきた。

 そう、例の通訳である。

 彼は本業の会議を断って、アルバイトで他社の新製品発表会の通訳をしていたのである。

「公私混同するな」「アルバイトは時間外に」というのは、日本企業に限らず、多くの企業で当然のこととされているが、中国ではその常識は通用しないと考えたほうがいい。それでも彼らと付き合っていくために、「中国人の頭の中」を知っておいたほうが良いだろう。

デイリー新潮編集部