“入れ違い”で実現しなかった「桐生VSサニブラウン」直接対決

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

 桜前線が列島を縦断すると、陸上シーズンが始まる。

「“開幕戦”は例年4月最終週に広島で開催される織田記念大会ですが、今年は盛り上がってなくて……」

 と大手紙陸上担当記者が語る。どういうことか。

「ここの競技場は走路の硬度が公認上限で施工されているため、記録が出やすく、選手たちに人気でした。でもそれは一長一短で、故障のリスクも高い。今年は夏にリオ五輪が控えているため、有力選手は軒並みエントリーを見合わせています」

 逆に、その翌週に川崎の等々力競技場で開催される「セイコーゴールデングランプリ」に有力選手が集結した。

 目玉は男子100メートル――ここ数年来“日本人初の9秒台”が期待されている桐生祥秀(20)と、“スーパー高校生”サニブラウン(17)の韋駄天(いだてん)対決だ。

 意外にもこの両雄、今大会が初の直接対決となる。

「桐生は昨年5月の関東学生対校選手権で左太腿を故障。一方、サニブラウンは翌月の日本選手権2位で一躍脚光を浴びた。その後、世界ユースで“ボルト越え”と騒がれ、世界選手権にも出場したわけですが、その間、桐生はずっとリハビリ中でした」

 シーズン終了間際に復帰したものの、既にサニブラウンはクールダウン。つまり、“入れ違い”だった。

「桐生はサニブラウンに対して“負けられない。違いを見せつけるレースをしたい”と敵愾心(てきがいしん)剥き出しでした」

 8日に行われた対決の結果は――桐生が10秒27で4位、サニブラウンは10秒34の5位。待望の9秒台は出ずに終わった。

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。