バチカンとロシア正教「歴史的抱擁」にプーチンの影

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 カトリック教会のローマ法王フランシスコとロシア正教会のキリル総主教が12日、キューバのハバナで抱き合った。1054年、東西教会分裂。別名大シスマ――世界史の教科書を思い出せば、なんと約1000年ぶりの和解か。両者は「われわれは競争相手ではなく、きょうだいだ」とし、「イスラム国」などによる暴力とテロの根絶を訴えたが、キリスト教に詳しく、インテリジェンスに通暁する作家の佐藤優氏は言う。

抱擁するロシア正教会のキリル総主教とローマ法王フランシスコ

「誤解してはならないのは、1964年にローマ法王パウロ6世とコンスタンティノープル全地総主教のアシナゴラス1世がエルサレムで会談し、すでに東西教会の和解は成立しているのです。今回“初めて”であるのは、あくまでローマ法王とモスクワ総主教の会談なのです」

 東方正教会はいわば「商店会」。コンスタンティノープルを第一の地位に置きはするが、「商店会長」のようなもの。各地の地方教会は緩やかに連合し、信者1億人程と最大規模を誇るロシア正教会もそのひとつなのだという。

 では、ロシア正教会にとっての“和解”とは何か――。

「ウクライナですよ」

 佐藤氏は言う。

「16世紀末に東方正教会から離れ、ローマ法王を仰いだ東方典礼カトリック教会という宗派がウクライナを中心に広がっています。が、これはロシア正教にとっては“裏切り者”、バチカンとの積年の対立点でした。にもかかわらず、ここに来て突如、初会談。ロシア正教に手を回したプーチンの意図は明白です」

 ロシアはウクライナ問題で孤立、経済制裁により深刻な経済状況に陥った。このタイミングでの“歴史的抱擁”は、国際社会復帰のための演出に他ならない。

「ロシア正教会は事実上、ロシア政府の下部組織となっているのです」(同)

 目的のためには歴史的宗派対立もカードに使う。プーチンもそれだけ追い詰められているということか。

週刊新潮 2016年2月25日号掲載

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