「さらば あぶない刑事」ポスターを手掛けていた「サノケン」の教壇

エンタメ 週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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 紛れもなく2015年を彩った「顔」なのに、姿を見かけなくなって久しい。東京五輪のエンブレム問題で退場を余儀なくされた「サノケン」ことデザイナーの佐野研二郎氏(43)。それでも年が明ければ、彼の“新作”が巷に並ぶのだとか。

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 12月18日、旧エンブレムの選考過程を調べていた大会組織委員会の外部有識者チームによる「報告書」が公表された。

「最終的に佐野作品への影響はないとの結論でしたが、1次審査の段階で永井一正審査委員代表自ら、不正投票に加担していた事実が認定されました」(全国紙記者)

 新エンブレムの応募は7日で締め切られ、1万4599点の案が寄せられた。年内に100〜200点にまで絞られ、採用作品の決定は春先になる見通しだ。

 そんな折、“幻のクリエーター”はなおも行方を暗ましたまま。が、ちょうど選考が佳境に入る頃、

「1月30日から『さらば あぶない刑事』(東映)が全国上映されます。このアートディレクターとして宣伝ポスターの制作を手掛けたのが、佐野さんなのです」

 とは、さる美術関係者。日本テレビ系で30年前から放映されてきた人気シリーズも、映画化7作目でついに完結。そんな節目の仕事に携わっていたのだった。

「そのポスターは、サングラスをした舘ひろしと柴田恭兵が白地をバックに並び、『さらば』の“ば”の濁点が2人のシルエットで表されています。発表は7月中旬で、まさにエンブレム決定の数日前でした」(映画関係者)

 すでに、デザインにもとづいた映画グッズ販売も始まっている。一連の騒動を経ても、ポスターは“無傷”で済んだのだ。

「騒ぎの最中には周囲から“そう言えば『相棒』のシルエットロゴに似てないか?”“あれも東映だからいいのかな”なんて声が上がっていましたが、何も問題なしということで落ち着いたのです」(同)

■4月から大学に

 とはいえ、大打撃には違いない。一時は延々と弁明を載せていた個人事務所のホームページも、今では連絡先のみ。もしや“開店休業”かと案じてみると、

「佐野は出かけており、こうした問い合わせにはお答えできません」

 一方で14年4月には、母校の多摩美術大学の教授に就任。これまでは数回の特別講義のみだったのだが、

「佐野先生が担当する統合デザイン学科の講義は3年生からのカリキュラムですので、正式な開講は16年4月からになります。エンブレム騒動はありましたが、大学としては先生の休職などは検討しておらず、現在でも連絡を取り合って進めております」(大学総務課)

 と言う。あるいは雌伏して教壇に立つ日を待っているのか。大阪芸術大学の純丘曜彰教授(美術博士)は、

「今回のポスターの仕事は、ゼロからのデザインでなく、すでにある素材をレイアウトして見栄えをよくする『エディトリアルデザイン』。もとは佐野さんの得意分野で、いわば裏方的なのですが、佐野さんはカリスマデザイナーのように名前が先行し、地方自治体などに食い込んで通常の3倍のギャラを貰っていた。名前を売る商売はもう難しいでしょう。エディトリアルに徹して地道にやるべきです」

 新年を迎えた自身のグランドデザインや、如何に。

「ワイド特集 敵もさる者 引っ掻く者」より