安保・TPP・軽減税率の大波に「自民安泰」のフシギ

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 だから、足元を見られてしまうのだ――。

 12月14日に公表された「産経・FNN」の合同世論調査の結果は、またしても「安倍自民」に軍配が上がった。内閣支持率は47・8%、自民党支持率は37・9%と、いずれも安泰。対する野党は、民主党が9・4%、おおさか維新の会が4・4%、維新の党が1・1%と、全く振るわない。

スピーチをする安倍晋三総理

 政治部記者が言う。

「この1年のマスコミ各社の世論調査結果を振り返ると、内閣支持率と自民党支持率は、安保関連法案の強行採決が世論の不興を買った9月末に一旦、下がったものの、すっかり持ち直し、にわかに来年夏の衆参ダブル選の機運さえ高まってきました。今なら、憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を、衆参両院で獲得できるというわけ」

 それにしても、フシギである。

「安保」に「TPP」に、「軽減税率」を巡る前代未聞の「バラマキ」を受けてもなお、安倍自民の一強は揺るがない。

「国民が気にするのは、国の安全保障より、TPPの中身より、財政再建より、自分の懐ですからね」

 と、政治アナリストの伊藤惇夫氏が苦笑する。

「二大政党」はどこへやら

「今回の軽減税率についても、当初、自民が主張していた4000億円規模の生鮮食品から、加工食品を含めた1兆円規模へと適用範囲が拡大されたことで、何となく得した気分になったのでしょう。安倍政権は実のところ、アベノミクス然り、女性活躍推進、地方創生、1億総活躍社会然り、国民の期待感を煽ることで、急場を凌いでいるだけなのに……」

 だが、その漠たる「期待感」に拍車をかけてしまっているのが野党で、

「維新の党との合流を巡って煮え切らない態度を取っている民主党の現状に、政権時代の“決められない政治”や“バラバラ感”が蘇り、民主や維新よりは自民の方がマシ、という心理が働くのでしょう」(同)

 安倍晋三総理のほくそ笑んでいる姿が、目に浮かぶようである。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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