どうして「ミス・ユニバース」日本代表は個性的な美人ばかり?

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〈美ってやつは、こわい、恐ろしいものだ! はっきり定義づけられないから、恐ろしいのだし、定義できないというのも、神さまが謎ばかり出したからだよ〉。ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』の一節だが、昨今のミスコン日本代表も“神さまが出した謎”なのだろうか。

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 3月12日に開催された「ミス・ユニバース日本大会」で日本代表に選ばれた宮本エリアナ嬢(20)である。

 長崎県出身の彼女は、日本人の母とアフリカ系アメリカ人の父を持つ。彼女自身が代表選出後に「ハーフの私でいいのかなという不安もあった」とコメントしているように、国際結婚が珍しくなくなった昨今とはいえ、かなり個性的な日本代表であることは確かだ。

 ミスコン関係者が語る。

「1952年にアメリカで始まったミス・ユニバースは、アメリカや中南米の優勝者が多い。世界大会で勝つために代表を選ぶとしたら、日米ハーフはむしろ順当でしょう」

 一方、こちらの女性もなかなか“個性的”な美貌。2014年のミス・インターナショナル日本代表だった本郷李來(りら)嬢(22)である。

「実はミス・インターナショナルは、元外務省所管の社団法人国際文化協会が主催しています。ミスコンではあるのですが、親善大使としての役割が大きく、本郷さんの場合は、上智大学外国語学部の学生であったこともプラスに働いたと思います」(同)

■“ミス日本”ではない

 しかし、かくも個性的な女性たちが“日本代表”であることに違和感を感じる方も少なくないだろう。

『美人論』の著書がある国際日本文化研究センター副所長の井上章一氏によると、

「日本人の平均的な尺度でべっぴんさんを選ぶのならば、“ミス日本”があります」

 たしかにこちらは、第1回優勝者は山本富士子、第24回は藤原紀香といった具合に、今に至るまで多少の誤差はあるにせよ、まあ首肯しうる結果が続いている。

 だが、ミス・ユニバース日本代表となるとそうはいかない。近年では、2006年代表の知花くららが世界2位、07年の森理世が世界一になったが、いわゆる大和撫子とは程遠い。

「審査員のほとんどは外国人ですから、彼らの美的センスが国内選考の基準になってしまっている」

 と嘆くのはエッセイストの井狩春男氏。

「本来は、もっと日本人らしい女性、大和撫子的な女性を代表として選び、世界に日本女性の美を発信すべきだと思いますね」

「八頭身美人」を流行語にした53年ミス・ユニバース日本代表の伊東絹子、59年ミス・ユニバース世界大会で日本人として初めて優勝した児島明子の例を引くまでもなく、その美が世界で通用しうることは証明済みなのである。

「もっとも、児島明子の時代には新聞が1面トップで報じるなど大騒ぎになりましたが、今ではミス・ユニバースよりもAKB総選挙の方が世間の関心が高いですからね」(井上氏)

 いっそ、AKBのセンターをミスコン日本代表に!?

「ワイド特集 『桜前線』異状あり」より

週刊新潮 2015年4月2日号掲載

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