“副首都”どころか東京を凌駕していた「大大阪(だいおおさか)時代」の名建築に脚光! 「大阪城天守閣」の次に重要文化財に指定されそうな建築とは
10月16日、大阪のシンボルである「大阪城天守閣」を重要文化財に指定するよう、文化庁の文化審議会が文部科学大臣に答申した。大阪では昨年にも、1970年の大阪万博の象徴である「太陽の塔」が重要文化財に指定され、誰もが知る有名なランドマークの価値が国に認められた形となった。
豊臣秀吉の時代から数えて3代目に当たる大阪城天守閣は、それまでは「コンクリートの城」などと揶揄されることも多かったが、建設から95年経ったことで、“大大阪”と呼ばれた昭和初期の発展の象徴として、また近代建築としての文化財的な価値が評価されたといえる。
そんな大阪には、将来に重要文化財に指定される可能性が高い建築がまだまだたくさんある。文化財に関する著書もある筆者が、次に重要文化財指定されるであろう大阪の名建築を予想してみた。【文=山内貴範】
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大大阪時代の建築は名作ぞろい
大阪の建築で圧倒的に見ごたえがあるのが、このたび重要文化財に指定されることになった大阪城天守閣が建てられた大大阪時代の建築であろう。大正から昭和初期にかけて、大阪の人口が東京を抜いて日本一になり、關一(せきはじめ)市長が主導して大規模な都市計画が行われ、さらに民間企業も傑出した建築を数多く建設した。
まず、大阪城公園の近くにある「大阪府庁舎本館」を挙げたい。1926年に竣工し、今年10月31日で築100年目を迎えた、現役で使用されている最古の都道府県本庁舎である。当時流行していたモダニズムやセセッションのデザインを取り入れており、特に吹き抜けのホールと正庁の間の壮麗な空間は素晴らしい。
大阪城内にある「ミライザ大阪城」は、もともとは大日本帝国陸軍の「旧第四師団司令部庁舎」として1931年に建設されたもの。大阪城天守閣を再建するための寄付金を使って建設されており、なんと、天守閣よりも建設費が掛かっているとのこと。佇まいは西洋の古城のようで、日本的な大阪城天守閣に隣接して建つ光景がなかなか異様で面白い。
1933年に開業した大阪メトロの「御堂筋線」も見逃せない。日本初の公営地下鉄であり、昭和恐慌の失業者を多く動員して建設された歴史的経緯、当初から8両編成の列車が乗り入れられるように設計された先進的なホーム、建築家の武田五一が監修した駅のデザインの完成度の高さ。そして、現在も大阪の大動脈であることも価値が高い。
民間の活力を感じさせるのも大阪の魅力
住友財閥の拠点として建てられた「三井住友銀行大阪本店ビル」は1926~30年にかけて完成した昭和初期の大規模ビルディング。館内にはコリント様式の柱が建ち並び、ギリシャ神殿を思わせる。現在の日建設計の前身にあたる、住友本店の設計部門の代表作としても重要な作品である。
御堂筋沿いに建つ「大阪瓦斯ビルヂング」は、戦後の建築のように見えるが、実は戦前の1933年に建てられたもの。設計は安井武雄で、この時期に流行していたアール・デコをさらにモダンにしたデザインである。このビルの8階にある「ガスビル食堂」は洋食の名店でもあり、食事をしながら建築美を堪能できるのも魅力だ。
飲食店……ということで、現在は日本屈指の“料亭”街であり、かつては日本最大の遊郭として繁栄した飛田新地からも1件は重要文化財を出したい。というわけで、「鯛よし百番」を推すことにする。内部が面白く、日光東照宮を模した部屋(なんと“眠り猫”までいる)や三条大橋を思わせる装飾など、独特な雰囲気がある。
遊郭建築が重要文化財になったケースは現時点では1件もないが、自治体指定の文化財になるケースはちらほらと出始めている。当時の職人の粋と遊び心が感じられる名作として、ぜひ第1号に選んでほしいものである。
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