ファミマ「250円ソフトクリーム」に漂う不安… コンビニおでんなき時代の“扱いが難しい商品”の経済学

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稚内では「1日200個」売れることも

 その点で、参考になりそうなのがローソンの試みだ。じつは北海道内の94店舗で、ソフトクリームを展開している。

 ミルクが税込380円で、「さつまいも」が430円というラインナップである。筆者が昨年6月に取材した稚内の店舗では、取材前日の日曜日に180個、過去には1日200個売れたこともあるとオーナーから聞いた。人口約3万人の街で、1日200個売れるとなれば、かなりの「お化け商品」だ。客はたばこやペットボトル飲料とともにソフトクリームを買い求め、客単価も1000円超と高かった。

 ローソンの場合も、注文を受けてからスタッフが一つずつ巻く。北海道産の牛乳や生クリームを使い、牛乳本来の風味を感じられる、後味のすっきりした味わいが特徴だ。2025年ごろから販売を本格化し、富良野産メロンや北海道産さつまいもを使った季節限定の味も投入している。

 ファミマの今回の試みも、ひょっとするとこのローソンの成功例が頭にあるのかもしれない。ただし、牛乳や乳製品がおいしいというイメージがある「北海道」に限っている点が、首都圏で実証するファミマとは異なる。

 地元客の日常のおやつとしても、観光客が旅先で味わう一品としても、地域の食材を打ち出せる強みがローソンの「北海道ソフトクリーム」にはある。ソフトクリーム単体の売れ行きだけでなく、「その店に行く理由」になれるだけのポテンシャルが、ファミマのソフトクリームにあるかどうか。気になる読者はぜひ実証店舗に行って味わってみてほしい。ファミマは店舗を公開していないが、「神田淡路町店」「豊洲ベイサイドクロス店」ほか、埼玉県の「川口上青木二丁目店」で“食べた”というレポート記事を筆者は確認している。

人手不足のコンビニで手間をかける意味

 同時に、ソフトクリームのように、人が手をかけて提供する商品も増やそうとするファミマの狙いも筆者にはわかる。会計など、機械に任せられる仕事は任せ、そこで生まれた時間を、来店のきっかけになる商品の提供に使う。人の手をどこにかけるかを考えるという話だ。ここに今後のコンビニの未来を占うヒントがあるとも思う。

 消費者に「食べたいから行く」と思わせ、加盟店にも「これなら売り続けたい」と思ってもらう。コンビニのソフトクリーム競争の行方を決めるのは、味や値段だけではない。カウンターの内側で、無理なく作り続けられるかどうかにもかかっている。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。コンビニジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、TOKYO FM『馬渕・渡辺の#ビジトピ』パーソナリティ。近著に『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』(馬渕磨理子氏と共著、フォレスト出版)がある。

デイリー新潮編集部

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