ファミマ「250円ソフトクリーム」に漂う不安… コンビニおでんなき時代の“扱いが難しい商品”の経済学
カウンターのおでんも負担だった
コンビニ業界では過去にも、カセット式のソフトクリームメーカーなどを用い、作業の手間を減らしながら販売する試みがあった。しかし、コンビニに広く定着するまでには至らなかったのはご覧のとおりである。
夏場にかき氷機を導入する試みも行われてきた。暑い日に店頭で作るかき氷は魅力的だが、先に触れたとおり注文ごとの対応に加え、機械の清掃や原料の管理も必要だった。セルフレジ導入など省力化が進む令和のコンビニにあって、「手間」は真っ先に考えなければならないテーマでもある。
かつて冬の風物詩だった「カウンターのおでん」を見かける機会は少なくなったことからも、「手間」を要するコンビニフードをめぐる状況はわかっていただけるはずだ。かつては冬場の集客を支える看板商品の一つだったおでんだが、仕込みや補充、鍋の洗浄、売れ残りの廃棄など、店の負担は小さくなかった。現在でもおでんを扱う店舗はあるが、カウンターでの販売を取りやめ、パック入りの商品を陳列するところもある。もちろん、背景には、客の買い方や衛生意識の変化などいくつもの理由もあるが、それでも働く人の手間は、販売を続けるうえで無視できない問題だ。
コンビニの多くはフランチャイズ加盟店である。本部が新しい商品を打ち出しても、実際に売るのは加盟店のオーナーとスタッフだ。売上が伸びても、人件費や廃棄が増えて利益が残らなければ、店にとって魅力的な商品とは限らない。
ミニストップには45年以上の蓄積が
ここまでコンビニとソフトクリームについて述べてきて、では「ミニストップ」はどうなのか、と思った読者は少なくないはずだ。ソフトクリームという難しい商品を、1980年の創業時から看板商品として育ててきたのがミニストップである。2021年度には、年間2354万個以上ものソフトクリームを販売していた。これは全店合計で、1日当たり約6万4500個に相当する。
2025年4月には「ソフトクリームバニラ」から「北海道ミルクソフト」に名称を変えた。北海道十勝産生乳を使ってミルク感を前面に打ち出し、乳脂肪分を5.5%まで高め、濃厚な味わいに仕上げる“改良”である。まさに老舗ならではのこだわりである。
商品とともに、作り手も育ててきた。2003年から続く「ソフトクリームマイスター」制度は、2025年6月末時点で、社員を除く延べ3万6211人の合格者を生んだ。きれいな形に巻く技術だけでなく、機械の仕組みや調整方法を理解し、ほかのスタッフを指導する力も求められる。全国の店舗で、一定の品質を保ちながら商品を提供するために人材を育ててきた実績は大きい。逆に言えば、他社が専用機械を入れただけでは、簡単に追いつけない部分だ。
つまりミニストップが築いてきたのは、商品の人気だけでなく、それを日々提供するための人材と仕組みなのである。たしかにファミマのソフトクリームも、話題性は高く、ギガ盛りサイズの見た目はインパクトがあり、SNSでも話題になりやすいだろう。買い物のついでに追加してもらえれば、売上アップも期待できる。ただし、全国に広げ、定着できるかどうかは別の話だ。2027年夏ごろまでの検証では、販売数だけでなく、限られた人数で対応できるか、手間に見合う利益が残るかも問われるはずだ。
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