娘を1人で産んだ妻「出産のとき、どこにいたのよ」夫は20歳美大生の部屋にいた 7歳年上妻の包容力を見誤った男の大いなる勘違い
必死で食べた麻婆豆腐
帰宅すると妻はすでに休んでいた。テーブルの上に「よかったら食べて」というメモとともに麻婆豆腐が置いてあった。お腹がすいていたわけではないが、この麻婆豆腐は食べなければいけないと思い、必死で食べたと彼は振り返る。すでに罪悪感が芽生えていたということだろうか。
「罪悪感はなかった……と思うんですが、もしかしたらそうだったのかもしれません」
彼の声が小さくなった。
それ以来、ふたりはときどき会った。芸術の話から政治、最近のお笑い、スポーツなど話題は尽きない。どんな話にも彼女のセンスがキラリと光った。
「好きになっていました。好きでたまらなかった。あるとき、もう我慢できなくて『実は結婚している。でもきみが好きで苦しくてたまらない』と白状しました。自然と涙がこぼれていて、自分でもびっくりしました。彼女も目を潤ませていた」
そうだろうと思ってたと彼女はつぶやいた。怖くて聞けなかったと。意を決して彼は言った。アパートに行ってもいいかと。
「彼女は目をつぶってしばらく考えていました。そして『いいわ』と。こういうことを言うのは憚られるけど、彼女、初めてだったんです。震えている彼女を大事に大事にしながら、僕の気持ちをこめました」
深夜に帰宅したら妻がいない
深夜、彼女が寝たのを見計らって部屋を出て帰宅した。妻はいない。あわてて携帯を見ると何度も連絡が入っていた。病院に駆けつけると、まさに今、出産したばかりだという。初産にしては早かった、女の子、元気ですよと言われて病室に入ると、妻の腕に赤ちゃんが抱かれていた。
「ごめん、仕事が……と言いかけると、妻は『元気な子よ』と笑顔を見せました。ひとりにしてすまなかったと言ったら、もともとひとりで産み育てるつもりだったしねと妻は意味深な言い方をしました」
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