なぜ資さんうどんは「味が変わった」と言われ続けるのか 買収をきっかけにSNSで批判が激化する「地域のソウルフード」だからこそのジレンマ

国内 社会

  • ブックマーク

 資さんうどんに対し、SNSを中心に「味が変わってしまった」という批判が相次いでおり、沈静化する気配がない。資さんうどんは1976年に北九州市で創業。2009年以降、福岡市や佐賀県、中国地方などに進出し、2020年代には関西と関東にも店舗を構えた。そして24年、すかいらーくホールディングスが240億円で買収して完全子会社化した。「麺の味が変わってしまった」、「ダシの味が前と違う」という投稿がSNSで目立つようになったのは、もちろん買収後の現象だ。(前後編の前編)

 ***

 Xを見てみよう。《「資さんうどん」ってこんな味でしたっけ…?》、《麺の味が少し落ちた気がしたんだよな》《グローバルに媚びた時点で味がおかしくなる》、《関東進出の時に、味の品質は変わらないようにすると約束されていたが、残念ながら守られてない》、《幼い頃に食べてた味と今の味は決して同じとは言えない》──という具合だ。

 さすがに“炎上”は大げさかもしれないが、今も味を批判する投稿が一定数、必ず表示されるのは間違いのない事実だ。

 福岡市に本社を置く九州のブロック紙・西日本新聞(電子版)は25年2月、「『資さんうどん、味変わってない?』SNSに心配の声、佐藤社長に聞いた 『だしが命』セントラルキッチン検討せず」の記事を配信した。

 西日本新聞の取材に対し、当時の佐藤崇史社長は「味を変えることは絶対しない」と力強く断言。だが記事の配信から約1年半が経過したが、SNSでの批判が沈静化する気配は感じられない。担当記者が言う。

「資さんうどんの歴代社長を見てみると、興味深いことに気づきます。まず西日本新聞の取材に対応した佐藤氏は広島県出身。慶応大学を卒業し、ソニーやボストン・コンサルティング・グループ、ファーストリテイリングなどの有名企業で重職を担ってきた筋金入りのビジネスエリートなのです。すかいらーくホールディングスに買収される前、2018年に社長に就任し、全国進出を推し進めました。ただ幼い時から福岡のうどんに親しんでいたわけではなく、一貫して外食産業を歩んできたプロフェッショナルという経歴の持ち主でもありませんでした」

“資さんプロパー”人事

 その後、佐藤氏は今年3月31日付けで退職。翌4月1日に崎田晴義氏が社長に就任した。

「崎田氏は福岡県出身で、大学も福岡市内の私立大学を卒業しています。福岡のうどんの味はよく分かっているでしょう。ただし崎田氏は2015年にすかいらーくの執行役員を務めるなど“親会社”の社員でした。そして10月、すかいらーくホールディングスは『11月1日付けで社長の崎田氏は代表権のない会長に就任し、伊藤英記氏が社長に就任する』と発表したのです」(同・記者)

 一部のネットメディアは、SNS上の批判と崎田社長の交代が関係あるかのような記事を配信したが、文中で示された根拠は極めて薄いものだった。

「とはいえ、わずか7カ月での社長交代です。『何かあったのでは?』と勘ぐる人が出るのは仕方ないでしょう。さらに新社長の伊藤氏は2019年、買収前の資さんうどんに入社しており、創業の地である北九州市内の店舗で副店長を務めた経歴の持ち主です。すかいらーく側が“自社の執行役員”だった崎田氏から、“資さんのプロパー”である伊藤氏に経営のバトンを渡したわけですから非常に興味深いと言えます。この人事により『買収前と変わらぬ味を、間違いなく提供できるトップ人事です』と消費者にアピールしている可能性はあるかもしれません」(同・記者)

次ページ:ちょっとした自慢話

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]