カナダ国旗に描かれたのは紅葉? それとも楓? 古より歌に刻まれてきた“日本人との深い関わり”とは

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 奥深い国旗の世界を紹介し、理解を深める連載「『已己巳己(いこみき)』だけど実は…知られざる国旗の世界」。第三回は、カナダ国旗に描かれた紅葉/楓と、日本人との深い関わりについて記す。

【vol.3】
【吹浦忠正/NPO法人世界の国旗・国歌研究協会共同代表】

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紅葉と楓

 先日、都内での講演で、カナダの国旗を「紅葉(もみじ)を大きく描き……」と説明していると「これは楓(かえで)ですよ」とご注意をいただいた。紅葉と楓は、同じムクロジ科カエデ属の植物で、植物学上区別はしないと、昔、生物の教師に教わったことがあるが如何?

 日本では葉の切れ込みの深さで紅葉と楓は区別されることが多いようだ。切れ込みが深く、手のひらを広げたように見えるものが紅葉で、葉が比較的大きく、切れ込みが浅いものは「楓」と呼ばれることが一般的だとか。

十和田湖が日本一

 カナダ政府は、国旗の図柄を「11の先端をもつ、様式化されたカエデの葉」と説明している。同国旗はフランス語で「一葉旗」を意味する「リュニフォリエ」とも呼ばれる。ちなみにカエデ属の代表的な樹木・サトウカエデは、樹液を煮詰めると、メープルシロップの原料となる。その昔、欧州から来た初期の移民たちは、厳寒の季節をその樹液でしのいだのだと伝わる。

 秋のカナダは首都オタワからケベック辺りを中心に帯状に紅葉の景色が広がる。私の造語だが「線状紅葉帯」と言ってもおかしくない素晴らしい景観だ。

 だが、日本にもカナダに勝るとも劣らない紅葉スポットは幾らもある。特に秋田生まれの私は、修学旅行や家族旅行で十和田湖を何度か訪れたが、我田引水だと言われようとも十和田湖が「日本一の紅葉」だという自信がある。

 むろん、冬を前にして鮮やかに彩られる山々を愛でる感覚は時代を問わない。古人もたびたび、紅葉を和歌のテーマにしてきた。

百人一首にも選ばれた歌

 例えば、『古今和歌集』には、菅原道真(菅家)の以下の歌が収められている。

〈このたびは 幣(ぬさ)もとり合へず手向山(たむけやま) 紅葉の錦神のまにまに〉

(現代語訳 このたびの旅は急なことで、神様にお供えする幣(ぬさ)さえ用意できませんでした。手向山の美しい紅葉を、錦の織物のようなお供え物として捧げますので、神様、どうぞ御心のままにお受け取りください)

『拾遺和歌集』にも、藤原忠平(貞信公)による紅葉を題材とした歌がある。

〈小倉山峰のもみぢ葉こころあらば 今ひとたびのみゆき待たなむ〉

(現代語訳 小倉山の峰の紅葉よ、もしあなたに人の心があるならば、もう一度、醍醐天皇がおいでになるまで、散らずに待っていておくれ)

 以上の二首は『百人一首』にも選ばれている。

 また、新古今和歌集には、具平親王(ともひらしんのう)作のこんな歌が。

〈いつのまに紅葉しぬらむ山桜 昨日か花の散るを惜しみし〉

(現代語訳 山桜はいつの間に紅葉したのだろう。花が散るのを惜しんだのは、つい昨日のことのようなのに)

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