藤井六冠は「女性棋士制度」に苦言を呈していた 「棋力の担保は取れているのでしょうか」…史上初の女性棋士・西山朋佳氏の“今後”

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 10月26日、西山朋佳“女流”四冠(31)が女性としては初めて棋士になることを表明した。

「このたび棋士編入の資格を行使して、フリークラスに編入することを決めました。強い方と戦いたい、もっと上を目指す戦いをしてみたいと思ったのがきっかけで、その気持ちを大事にしたいと強く思った」

 その棋風から“豪腕”と呼ばれる彼女らしい言葉だ。2015年に女性として2人目の奨励会三段に昇進した彼女は、翌年から三段リーグに参加。この時、いち早く史上最年少のプロ入りを決めたのが藤井聡太六冠(24)だったが、彼女は棋士になれなかった。21年に女流棋士となり、24年9月から昨年1月にかけて棋士編入試験を受験したが不合格に。そして今月10日、女流最高峰とされる「白玲戦」で5度目のタイトルを獲得したことで棋士になる権利を得たのだ。

 来年4月には晴れて史上初の女性棋士となる西山新四段、歓迎の声が多数かと思えば、意外なことに将棋ファンからは厳しい声が少なくない。実は彼女は昨年成立した“女流棋士に特例的”とも指摘される新制度によって棋士となった。その制度の導入に当たっては棋士たちの間でも反対の声が少なくなかったのである。そして、異を唱えた一人が他ならぬ藤井六冠だった。なぜ将棋界の第一人者は苦言を呈したのか。当時の記事を再録し、その真意を詳らかにしてみよう。

(「週刊新潮」2025年8月7日号記事を再録しました。文中の年齢、役職等は当時のものです)

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羽生善治氏が主導した“新制度”

 話は6月6日に都内で行われた日本将棋連盟の「棋士総会」にさかのぼる。

 会場では、女流棋士の清水市代氏(56)が新会長に選出。前会長の羽生善治氏(54)が主導した女流棋士のプロ編入を認める「新提案」が、賛成多数で可決されたのだ。

 大手メディアは史上初の女性会長誕生と共に、「新提案」によって将棋界の女性進出が加速することへの期待をこぞって報じた。

 観戦記者によれば、

「羽生さんの『新提案』によって、今後は女流棋戦の実績だけでプロ棋士として認められることになりました。具体的には、今年8月30日から始まる『ヒューリック杯白玲戦』で、女流最高位タイトル『白玲』を通算5期獲得した女流棋士が、その権利を得られます」

「最後まで藤井さんは納得した表情を見せなかった」

 ところが、前述の総会ではひと悶着あったという。

 総会に出席した棋士の一人はこう明かす。

「件の議案については、ベテラン棋士らが“羽生さんが提案するのだから”という理由で賛成の意向を示していましたが、採決に入るタイミングで一人の若手棋士が挙手をしたのです」

 その棋士とは、竜王・名人など現在、叡王以外のタイトルを独占している藤井聡太七冠(23)。

「総会の参加者は誰もが“藤井さんが手を挙げた”と驚いていました。しかも彼は、最前列に座り、清水新会長や羽生前会長、理事たちと最も近い位置にいた。会場に緊張感が漂う中、藤井さんは“棋力の担保は取れているのでしょうか”などと発言したのです。その口調は、普段テレビのインタビューなどで見られるように淡々として、表情も冷静でした」(同)

 別の参加者によれば、

「藤井さんのすぐ後ろには、女流タイトルを分け合う女流棋士の2強が座っていましたが、怯むことなく疑義を唱えたように見えました。彼の指摘に対して、担当理事らは通り一遍の説明を繰り返すばかり。最後まで藤井さんは納得した表情を見せていませんでしたね」 

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