話題性は低くてもシリーズ化している「お気に入りドラマ」3選 周囲に見ている人がいなくて孤独が

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 シリーズ化するドラマの条件は何だろう。まず何といっても役者陣のやる気と関係性、予算をぶんどってスポンサーをつかまえるプロデューサーの気合と手腕、テレビ局の皮算用、監督や脚本家の忍耐力、その他にも映画化などの算段が整ったら、というところかしら。もちろん人気と話題性も要素だが、そこは案外優先順位が低い気もする。

 ひそかに愛でているし、ふうーん録でも過去に書いているが、周囲に見ている人がいなくて孤独を感じるシリーズというものがある。衝撃の展開とか激動の物語ではないので、熱を入れるほどでもない。肩越しにささやき声でエールを送る、どっかの女将(おかみ)の気分で書く。

 まずは、市原隼人の毛細血管が切れる心配をしながらも、相変わらずのフルスロットル茶番が笑えるのが「おいしい給食」(テレビ神奈川他)。「給食を味わう」という小さな幸せを追求する甘利田幸男が主人公。給食が好き過ぎる教員だが、函館の次は沖縄が舞台に。地方公務員だから都道府県別の採用試験を受けなきゃいけないのでは?という無粋なことは考えるな。ドラマに好都合な「広域転勤」。こうなったら、寅さんのような風来坊超長期シリーズ化を目指し、甘利田が定年を迎えるまで、というか市原が白髪になるか、はげ散らかすまで続けてほしい。

 甘利田のライバルを演じる生徒役も沖縄編で新顔に。絶妙な無邪気さとあざとさが丁度いい橋本偉成(いせ)が抜てきされた。基本は、この二人の給食うまそげ対決(いかに工夫しておいしく食べるか)なので新奇性はないが、沖縄県民の特性を生かす設定と配役が南国色を添える。

 もう一つは、天狗の末裔(まつえい)たちが丁寧な田舎暮らしを送る「天狗の台所」(BS-TBS)だ。シーズン3まできたかと思うと感慨深い。正直、もう隠遁生活(天狗の末裔は1年間の田舎暮らしをしなければいけない)も終わったし、この設定の魅力も薄れた。が、新鮮な野菜を使って土間キッチンで作る“うまそげ”な料理は「メシ系ドラマ」のうまみがあるし、どうやら別のテーマも入れ込む模様。

 天狗の一族・飯綱(いづな)家を継承した兄の基(駒木根葵汰〈こまぎねきいた〉)は清く正しく優しく穏便を貫き、里で独り丁寧に暮らしている。田舎暮らしにすっかり興味を持ったNY在住の弟・オン(越山敬達〈こしやまけいたつ〉)は大きく成長している。天真らんまんなオンを持て余す几帳面な基、そんな二人を優しく見守るのは、別の天狗一族・愛宕家の有意(ゆい/塩野瑛久〈あきひさ〉)。この構図は変わらないが、天狗を敬い、祭る里には高齢化や人手不足の波が。里の人口減少や過疎化問題にも触れている。

 あとは、過去にも絵にも描いていないが、恋愛リアリティショーのような味わいの「私があなたといる理由」(テレ東系)もシーズン2へ。グアムでカップル数組が向き合う(別れる)話だったが、人数は増え、マッチングで結ばれたカップルがお試し旅行という設定に変更(こっちのほうが興味深い)。グアム政府観光局とがっつり組んだテレ東の勝利。まんまとグアムに行きたくなっている……。

吉田 潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2026年10月29日・11月5日号掲載