「両親の営みを見ちゃった」父は愛人が何人もいるのに…子どもながらに“偉い”と思った そんな息子が歩んだ恋多き人生

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そんな彼が結婚を求めた相手とは

 父親のような器はないんだと改めて思った。女性関係でも、父には勝てない。しばらく女性とはつきあいたくないとさえ思った。そんなとき、仕事で出会ったのが4歳年上の志津香さんだ。彼が27歳、彼女は31歳だった。彼の手がけた業務を請け負ったのが、フリーランスの広報担当者である志津香さんだった。

「淡々としてめったに感情的にならない志津香に、僕は心惹かれました。今までの女性とは違う。自分が自分でいられると思った。力を抜いて裸の自分を見せても彼女は動じない。あなたはずるいと言われることもあったけど、他の女性のように攻撃的ではない。どこか達観しているというか……。そんなあなたも受け止めると言わんばかりだった。だから僕も、それまでの信条を崩して結婚を申し込んだんです」

 だが志津香さんの答えは「ノー」だった。結婚しないと言っていたのにどうして変わったのとも聞かれた。志津香となら一緒に人生を歩いていけそうだから、僕より年上だから早く結婚したいんじゃないかと思ってと言うと、「つまんない男ね」と一刀両断だった。

「僕はひとり暮らしの彼女の部屋に転がり込みました。最初は2日もいると、もう帰ってと言われていましたが、だんだんいる時間が長くなっていった。そうやって彼女と一緒にいるうち、僕なんかより志津香のほうがよほど変わっていることに気づいた。いや、普通の人ではあるんだけど、考え方が完全に“人間はひとりで孤独なものだ”というところに起因しているんですよ。だからといって寂しいわけではないとも考えている」

 どうしてなのかと問うと、彼女は「私、親戚をたらい回ししながら育ったから」とさらりと言った。たらい回しに「された」わけではなく、自らたらい回しを「した」というのが彼女の言い分だ。

志津香さんの生い立ち

 志津香さんの両親は、彼女が10歳のときに離婚した。双方が新たな家庭をもったため、彼女は母の姉の家へ預けられた。そして1年後には自らの意志で、別の親戚へと移っていった。

「たとえ親戚でも、自分の子ではないのに1年も世話したら嫌になるでしょう、きっと。そう思って移住したわけよと、志津香は笑っていました。あちこち行ってよかった、いろいろな親戚とも知り合えたしって。でも結局、行き着いたのは他人の家だったというのがおもしろいんですよ。高校2年生のときに遠い親戚の家にいたんだけど、隣の家の老夫婦と親しくなった。毎日のように行ってはふたりと話をし、家事を手伝っていたそうです。ふたりには子どもがいなかったので、『志津香ちゃんが大学に行きたいなら学費を出すよ』と申し出てくれたんだそう。そんなことってあるんですね」

 志津香さんが大学に入ってしばらくすると、そのふたりは自ら高齢者施設を決めて出て行った。家は住んでいていいからと言われたそうだ。

「親戚より他人のほうがずっと心が通い合った。そんな体験をもっている志津香は、冷静で人を見る目があって、そして孤独で強いんですよ。たくさんの女性を喜ばせた父もすごいけど、そんな10代を送った志津香はもっとすごい。尊敬の念を抱きました」

 一緒に住み始めて半年後、志津香さんが妊娠した。

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【記事後編】では、娘の誕生を機に事実婚を選んだ浩二郎さんと志津香さんの間に生じた溝、そして警察からの突然の連絡によって浮かび上がった妻の知られざる一面を紹介する。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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