浴槽の蓋を開けると、ゴキブリが「ごっちゃり」…“予約の取れない清掃業者”が見た、ゴミも高価アクセもいっしょくたの「壮絶汚部屋」

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築半年なのに、天井まで油まみれ

 近年増えているというのが、無断で民泊として使われていた部屋の清掃依頼だ。

「貸していたはずの部屋が、退去後、勝手に民泊として使われていたと判明するケースが増えています。そんなオーナーさんからの依頼ですね。『土足禁止』とあっても、平気で上がる人もいるらしく、床は本当に汚い。また、部屋の中に見慣れない外国の洗剤や調味料がいろいろ置いてあって、これを捨てていいものかどうか判断に困るなども。あと、民泊の部屋はたいてい排水口詰まりがとんでもなくひどい。特殊な薬剤を使わないと、どうにもなりません」

 築年数の新しさも、あてにはならない。最近、入居からわずか半年で退去した都内の新築マンションの部屋のクリーニングを不動産会社から頼まれた。

「6カ月しか住んでいないわけですから、そんなに汚れていないだろうと高をくくって行ったら、とんでもなく汚れていました。床も壁も天井も油まみれ。しかも土足で出入りしていた形跡がありました」

 調理に使われていたとおぼしき油の種類も、前田さんには見慣れないものだったという。

「もちろん食用ですが、普通のスーパーでは売っていないようなものでしたね。ちょっと珍しいピーナッツオイルとかでもなく、ラードに近いようなものなのかな。おそらくそこを調理場にして、日常的に弁当かなにかを作っていたのでしょう。作業後にお客さんに連絡したら、契約していたのは中国人の方だったそうです」

 たったの半年で床も壁も天井もギトギトの油まみれになるほど……いったい何を作っていたのだろう。前田さんの経験によると、住人の出身国や地域によって、汚れ方にはある程度の傾向があるという。

「中国や韓国の方は油の使い方がすごいので水回りが大変。逆にベトナムやフィリピンの方は、虫が発生しがちな印象です。狭めの部屋に大勢で住むことが多く、どうしても物が散乱するためです。やや郊外のワンルームに7~8人住んでいていたケースでは、撤去後もゴミの始末、害虫の駆除が厄介でしたね」

荷物の奥に、尿入りの紙コップ

 夜逃げ後の部屋を片付けていた際には、また別の意味で忘れられない光景に出くわした。

「奥の奥まで片付けていたら、何か臭う。荷物がやけに積まれた一角があって、その奥に紙パックや紙コップに尿が溜め込まれていました。濃い茶色でしたがニオイでそれとわかってしまった。おそらく数日分はあったかと思います。電気や水道のメーターを動かさないように、何かに追われて、息をひそめて暮らしていたんじゃないでしょうか」

 住人がいなくなった部屋では、理由を確かめようがない。片付ける側には、キツイ置き土産だったと言える。

 だが、去ったはずの住人が、実は近くに潜んでいたケースもあった。後編記事【「夜逃げしたはずの住人」が天井裏にひそんで…“予約の取れない清掃業者”が語る、衝撃現場と“嬢”からの珍依頼】では、前田さんが経験した“まさかの依頼”を紹介する。

前田清貴(まえだ・きよたか)
ハウスクリーニング会社「エムズクリン」代表取締役社長。学生時代にアルバイトをしていた清掃会社にそのまま就職し、約10年勤務。その後独立し、起業して約20年。基本的には大手業者からの下請けか紹介がない限り、個人からの依頼は受けていない。特殊清掃から遺品整理、退去時のクリーニング、模様替えまで幅広く対応し、決められた時間内での徹底ぶりに定評がある。サラリーマン・ヴィジュアル系ハードコアパンクバンド「燭台(怪)」の元メンバーという顔も持つ。

取材・文/木原みぎわ

デイリー新潮編集部

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