今日も「13頭」の猫が殺処分されている…高齢者も単身者もOKな仕組みを掲げる新「保護猫」譲渡施設が目指すもの
「譲渡して終わり」にしない
各ケージには、自動トイレ、自動給水機、自動給餌機がセットされており、給餌や給水、排泄物の処理の一部が自動化されている。猫の譲渡には、これら家電のリースと猫砂などの消耗品を組み合わせたお世話の定期便「にゃんほっとHOMECARE」(月4980円~)への加入が条件とされるが、日々の給餌やトイレ掃除の負担を減らすことで、高齢者や多忙な人の「お世話ができない」をなくし、猫を迎えやすくする狙いだ。
やむを得ない事情で飼育を続けられなくなった場合に、譲渡した猫を再び受け入れる仕組みもある。後見人を立てる必要がないため、単身者や高齢者にも譲渡の道が開かれるという。
「こういったパッケージにすることに意味があります。単身者はダメ、高齢者はダメなどなどの引き取り条件の厳しさで里親さんになれない方も少なくない。私たちは「飼えない」という里親さんのハードルを下げ、できるだけ多くの猫が“家庭の一員”として迎えられることで、猫の殺処分を減らそうという狙いです」(三浦さん、以下同)
今も1日約13頭の猫が殺処分に
飼い主の死亡や入院、引っ越し、多頭飼育崩壊など、猫が行き場を失う事情はさまざまだ。行政に収容された猫のすべてが、新しい飼い主に出会えるわけではない。
環境省の統計では、猫の殺処分数は2004年度の約24万頭から、2024年度には4866頭へと約98%減少した。それでも1日あたり約13頭に相当し、約53%を、主に離乳前の幼齢個体が占める。なお、この統計には収容中に死亡した猫も含まれている。
日本で飼われている犬と猫は、あわせて約1567万頭。15歳未満の子どもの人口1329万人を大きく上回る。これほど身近な存在であり、「家族の一員」でもある猫たちの殺処分は、なぜゼロにならないのか。
「声はあっても言葉で訴えることができないから、イヤだという意思が伝わらない。ペットには、人なら誰にでもある“人権”に該当するものがないからです」
動物が嫌だと感じても、その意思が人に伝わらず、尊重されにくい現状を指摘する。
善意に頼る保護活動の「限界」
ペットの殺処分の問題には、保健所や動物愛護センターなどの行政機関、保護団体、芸能人やインフルエンサーを含む多くの個人が取り組んでいる。それぞれ献身的に活動しているのにもかかわらず殺処分がなくならない背景には、「社会構造」に原因があると三浦さんは言う。
行政の活動を支える税金には限りがある。一方、保護団体や個人の活動は、寄付や私財に頼ることも多く、安定した資金の確保が課題となる。三浦さんによれば、保護の依頼に応えようと、私財を投じ、自分の時間を削りながら活動を続けている人も少なくないという。
殺処分をゼロにするためには、保護猫活動を、収益を生み出し、その収益を活動に還元できる『持続可能なビジネス』にすること。さらに、里親を増やすだけでなく、迎えた猫を再び手放さずに済むよう、飼い主を支えることも欠かせない。先に紹介した「にゃんほっと池袋」のその後も支える仕組みは、そういった考えにもとづくものだ。
オープンして1週間後の取材日には、すでに6頭の保護猫の譲渡が決まっていた。これらの仕組みにより、保護猫の譲渡が決まるたび、収益の一部が保護団体に還元される。譲渡が増えるほど、保護活動に回せる資金も増える仕組みだ。
三浦さんは「この池袋で今後、月100頭の譲渡が決まれば、年間1200頭。もし同様の店舗が様々な都市の中にも展開できれば、毎年保護猫が多数譲渡される社会の仕組みが世の中に実装される。1日も早く、1頭でも多く、より良い譲渡をしていきたい」と熱く語った。


















