「自分にしか読めない字」「酔っ払いの千鳥足」難病を公表した阿曽山大噴火、体に起きた異変

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「リハビリさせてくれ」

 病名がわからない2年間、阿曽山が気にしていたのは、不安よりも症状を改善する手立てがないことだった。

「ずっと『リハビリをさせてくれ』と言い続けていて、『早く病名が決まってくれ』という気持ちのほうが強かったですね。しゃべりは仕事の根幹ですから。病名がないと、改善の入り口にすら立てない。気持ちとしては、そのもどかしさのほうが大きかったかもしれません」

 研究所では認知機能のテストなども受けた。「高齢の認知症患者扱いされているような検査もありましたが、もちろんそちらは問題なしです」。脳腫瘍や脳出血は見つからず、多系統萎縮症も今のところ初期段階だという。ただ、今後どう進むかはわからない。

 症状が出始めてからは、ラジオ出演がつらく感じられる時期もあった。

「『10分でもしんどい。もう無理かもしれない』とこぼすと、先生は『できることは続けたほうがいい。ラジオは身振り手振りで伝えられないから、言葉だけで伝えなくてはならない。リハビリとして優れていますよ』と言ってくれたんです。先生公認のリハビリになりましたから、今もずっと出続けています」

 先日は番組の中で病気のことも話した。ラジオ出演そのものがリハビリになっていることを踏まえ、リスナーには「ラジオを聴いている人は、私のリハビリに付き合ってくれているだけです」と伝えたという。

「しゃべりがうまくいかないのは自分でもわかっています。もどかしさはありますが、もう慣れました。慣れてしまうものなんですね、案外」

 文字を書くのも難しくなった。裁判の内容を記録して整理するには、法廷で取るメモが欠かせないが、以前のようには書けない。

「今の私の字は、自分にしか読めないレベル。『暗号化している』と言ってもいいかもしれません。問題は1年後にそのメモを見返したとき、『これは何の文字だったか』となることですね」

 ふらつきは傍聴の仕方にも影響している。すでに座っている人の前を横切るのが難しくなった。

「倒れてはいけないと思えば思うほど、足が止まる。後から傍聴席に入るのはもう厳しいので、なるべく一番乗りするようにしています」

 今後も裁判傍聴は続ける予定だという。

「もし将来的にもっと症状が進んで、車椅子になるようなことがあれば、また違う感情が出てくるかもしれません。でも今は、しゃべりと歩きが少し不自由なだけで、頭の中はクリアなんです」

 病気がわかって人生観が変わったかと問うと、今のところそこまで変わっていないという。不安もほとんどない。むしろ、この先どうなるのかという「ワクワク」があるのだと話す。

「経験したことのない体の変化が待っているかもしれないし、裁判を見る視点が変わるかもしれない。同じ事件でも、今とは違う角度から見えるようになるかもしれませんね」

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 第2回【ブックオフで女性客に「ブス!」 元大蔵官僚が侮辱罪に問われた裁判、傍聴芸人・阿曽山大噴火が見た「老い」の現実】では、最近の裁判傍聴について語っている。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
1974年、山形県生まれ。大川興業所属のお笑い芸人。1999年のオウム裁判をきっかけに東京地裁へ通い始め、傍聴した裁判は1万件を超える。著書に『裁判狂時代』(河出文庫)など。10月28日に新刊『元大蔵官僚、「ブス!」と叫んで被告人になる』(徳間書店)を刊行。2026年10月、多系統萎縮症と診断されたことを公表した。

デイリー新潮編集部

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