「3つ負けられる」「にっくき読売巨人軍」…強気な発言が裏目に出た日本シリーズの“問題発言”と皮肉な結末

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 何気なく口にしたひと言が、まさかの4連敗によって球史に残る“失言”となる。日本シリーズでは、そんな皮肉なドラマが繰り返されてきた。【久保田龍雄/ライター】

「巨人はロッテより弱い」発言の真相と悲劇

 10月24日に開幕する今年のプロ野球日本シリーズ。過去には「巨人はロッテより弱い」「3つ負けられるのが日本シリーズなんで」などの発言が、チームの日本一を逃した結果と結びつけられ、長く語り継がれている。発言の真意とは裏腹に、思わぬ批判を浴びたケースも少なくない。そんな日本シリーズを巡る問題発言の数々を振り返ってみよう。

 実際に口にしたわけでもないのに、報道陣とのやり取りから生まれた「巨人は(パ・リーグ最下位の)ロッテより弱い」という発言で一躍有名になったのが、近鉄・加藤哲郎だ。

 1989年の日本シリーズ第3戦に先発した加藤は、7回途中まで巨人打線を3安打無失点に抑え、勝利投手になった。チームも第1戦から3連勝。悲願の日本一に王手をかけた。

 ところが、試合後のコメントが思わぬ波紋を広げる。

 当時の加藤の談話は「とりあえずフォアボールだけ出さなかったらね。まあ、打たれそうな気しなかったんで。(巨人打線は)たいしたことなかったですね。シーズンのほうがよっぽどしんどかったですからね。(パ・リーグは)相手も強いし」だった。

 ところが、このコメントが「今の巨人ならロッテの方が強い」(10月25日付読売新聞)などと報じられ、“巨人はパの最下位チームより弱い”というニュアンスに変わってしまった。

 加藤自身も「実際には言ってないんですがね(笑)。ロッテの人にも失礼ですし。ただ、打線として見た場合、ディアズという大砲が1人いる分だけロッテのほうが迫力あるというニュアンスの発言が、回りまわってああなってしまったんですよ。僕の言い方も悪かったんですが」(週刊ベースボール1991年4月23日号)と回想している。

 近鉄がそのまま日本一になっていれば、ここまで大きく取り沙汰されることもなかったかもしれない。だが、チームはここからまさかの4連敗。第7戦に先発した加藤も駒田徳広に先制ソロを浴びるなど、4回途中でKOされ、敗戦投手となった。

 こうして、発言は“シリーズの流れを変えた失言”として、ファンの記憶に刻まれることになる。

 あれから37年。加藤には今なお、「巨人はロッテより弱い」と発言した元近鉄投手というイメージがついて回っている。

「3つ負けられる」が現実に…まさかの4連敗

「3つ負けられるのが日本シリーズ」という発言の後、チームが4連敗して日本一を逃したことから、結果的に「失言」とやり玉に挙げられたのが、ソフトバンク・小久保裕紀監督だ。

 2024年10月26日、ソフトバンクはDeNAとの日本シリーズ第1戦に5対3で勝利。2018年の広島との第3戦から続く日本シリーズの連勝記録を「13」に伸ばした。

 試合後のインタビューで13連勝について問われた小久保監督は、「3つ負けられるのが日本シリーズなんで、あまりそこは気にせず、一戦一戦やっていきます」と答えた。

 この時点では特に問題視されることもなく、むしろ冷静なコメントにも聞こえる。ところが、ソフトバンクは第3戦から4連敗し、日本一を逃してしまった。

 すると、X上でも「短期決戦『3つ負けられる』は言っちゃアカン」「ホンマに余計なこと言ってるなと思ってた」など、批判の声が相次いだ。

 さらに、第3戦を前にした村上隆行打撃コーチの発言も、物議を醸すことになる。

 村上コーチは、この日のDeNAの先発左腕・東克樹について「パ・リーグにそんなにいないかもしれないですが、(オリックス)宮城(大弥)の方が断然いいので」とコメントした。

 発言の真意は不明ながら、東へのリスペクトを欠いていると受け止めたDeNAファンも多かったようだ。選手たちの耳にも入っていれば、奮起する材料になったとしても不思議ではない。

 そして迎えた第3戦。ソフトバンク打線は東の前に7回1得点に抑えられ、シリーズ初黒星を喫した。

 試合後には東が約1年ぶりにSNSを更新。「あ、ちなみに別件ですが宮城大弥投手はめちゃくちゃ参考にさせていただいています! スーパーピッチャーですから!」と、村上コーチへの意趣返しとも受け取れる一文を載せた。

 その後もソフトバンクは立て直せず、第3戦から4連敗。日本一を逃したことで、ファンからは「口にチャックしたほうがいい」といった声まで上がった。

 もちろん、発言と敗戦の因果関係を証明することはできない。とはいえ、「東は宮城と並ぶ好投手」というニュアンスにしておけば、村上コーチも前出の近鉄選手時代に続いて、“4連敗の悪夢”と自身のコメントを結びつけられることはなかったかもしれない。

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