日本人は「大谷翔平」に夢と期待を押しつけすぎじゃないか? そろそろ完全無欠のヒーローではなく「超一流の野球選手」として評価すべきでは
それにしても、世間は大谷翔平にいつまで「漫画の主人公のような完全無欠のスーパーヒーロー」であることを求め続けるのだろうか。そろそろ彼を解放し、一人の超一流野球選手として扱ってはいかがだろうか。
ロサンゼルス・ドジャースがナショナルリーグのリーグ優勝決定シリーズで、ミルウォーキー・ブルワーズに0勝4敗で敗北した。筆者は正直、これにホッとしてしまった。「よかったですね、これで一旦肩の荷が下りますね」と。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】
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大谷起用に疑問の声も
最終第4戦で大谷は、4-1と勝ち越す3ラン本塁打を放ち、多くの人が「やはり大谷は持っている。ここから打線爆発し、4連勝だ! ワールドシリーズもその勢いで3連覇し、大谷劇場をさらなる高みに持って行ってくれ! MVP! MVP!」と思ったことだろう。
だが、チームのコンディション、監督の采配、ここぞという時の集中力も含めてブルワーズが一枚上手だった。9回表、4-5で3イニング目に突入したリリーフ投手・ディアスの球は走っていたが、打たれるのは時間の問題だった。さすがに3イニングはキツく、ハミルトンに本塁打を打たれ、ダメ押しの6点目を取られた。
終わってみれば、負けるべくして負けたリーグ優勝決定シリーズだった。昨年のワールドシリーズMVP・山本由伸は地区シリーズのアトランタ・ブレーブスとの試合では7回を1失点に抑え、エースの貫禄を見せつけたが、ブルワーズ戦では2回3分の2を投げ3失点で降板。
大谷は昨年のポストシーズンは17試合で打率.265、8本塁打、14打点、OPSは圧巻の1.096だったが、今年は8試合で.192、1本塁打、3打点、OPS.630に終わった。9月以降の不調を引きずったままのポストシーズン突入だったが、ロバーツ監督が調子の悪い大谷を起用し続けたことには疑問の声が上がった。
だが、これまで野球漫画のヒーローのような展開を見せ続けた大谷には「この男は不可能を可能にするはずだ」ということをファンだけでなく、ロバーツ監督ですら考えてしまったのではなかろうか。大谷本人はともかく、メディアと少なくないファンは大谷に過度な期待と夢を押し付けてきたように思える。もちろん、大谷のこれまでのキャリアを振り返ると仕方がない。何しろ本当に漫画に登場するヒーロー、いや、それ以上の存在だったのだから!
大谷ハラスメント
高校時代から「二刀流」で注目される→当時日本ハムの栗山英樹監督が二刀流としての育成プログラムをプレゼンする→ほぼすべての野球評論家の「二刀流は無理だ」「どちらかに専念しなさい」を尻目に、2年目には11勝・10本塁打を達成→4年目は二刀流でMVP獲得→6年目シーズン(2018年)はポスティングでエンゼルスに移籍し、二刀流で新人王獲得→2021年シーズンは弱小エンゼルス所属ながら満票でMVP獲得→2022年シーズン、MVPはアーロン・ジャッジに譲るものの、MLB史上初の投打規定投球回数・打数達成→2023年シーズン開幕前にWBCで侍JAPANを牽引し世界一に→2023年シーズンは再び満票でMVP獲得→2024年、結婚発表→水原一平通訳が大谷のカネを1700万ドル不正送金→それにもめげずドジャース移籍でMVP獲得、史上初の50-50達成。ドジャースはワールドシリーズ制覇→2025年、再びMVP獲得&ドジャース優勝。
2026年シーズンは、ワールドチャンピオンを逃し、MVPも難しい状況だが、野球選手としての実績は、いま記した数々の快挙だけで充分すぎるほどだろう。朝の情報番組では、大谷が本塁打を打つと速報が流れたり、本来のコーナーを中断してまでその映像を流したりした。それはあくまでも「視聴率が取れる」からであり、局側も大谷に頼っていたのである。
いつしかSNSでは「大谷もういい」「大谷お腹いっぱい」などと野球ファン以外からは書かれるようになり、「大谷ハラスメント」という言葉さえ生まれ、Wikipediaにもその項目は存在する。現代ビジネスでは、2024年3月28日、『「大谷ハラスメント」を知っていますか? 試合以外でもNEWS、SNS、プロモーション…毎日流れる大谷翔平に「うんざりする人々」の本音』という記事を掲載。この頃は結婚や水原通訳の件で連日大谷関連の話題がテレビでもネットニュースでも乱立した。
大谷は悪くないけど、メディアが過度に取り上げすぎている、というのが「大谷ハラスメント」なる言葉の真意だが、それだけメディアが大谷に依存してきたのは間違いない。なにしろ、ネットニュースでは大谷は一切登場しないドジャース関連の記事でも、タイトルが「大谷翔平所属のドジャース」で始まるのがブームになったほどなのだから。
そして、10月17日現在の日本、もはや日本人選手はMLBのポストシーズンには残っておらず、2024年・2025年とポストシーズンに沸いたテレビをはじめとしたメディアによるMLB報道はお通夜のごとき状況になるだろう。そして、そこから来るのが「シーズンオフは大谷選手も体を休めて! 来シーズンのV奪還とMVPとサイ・ヤング賞受賞に向け期待してます!」といった声だ。
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