「昭和の国民食」だったのに消費量が“100分の1に激減”…「クジラプリンセス」がおススメする“鯨肉”の新たな魅力とは

ビジネス

  • ブックマーク

「海のジビエ」「マリンビーフ」はいかが――。耳慣れない言葉だが、いずれも昭和時代の国民食・クジラのことである。今秋、日本最大の捕鯨会社で流通も手掛ける共同船舶(東京)は、クジラ人気復活に向け、アンバサダーとして広島県在住の西岡美和子さん(38)を起用。「クジラプリンセス」(クジプリ)と命名し、鯨肉のおいしさや健康パワーをPRしながら、消費拡大へと乗り出した。

 西岡さんは、シカやイノシシなど山のジビエのほか、「海のジビエ」と言われる鯨肉の犬・猫用のおやつや、オイルサプリの販売をきっかけに、昨年5月、業務・消費者向けに鯨肉を通信販売する「長須屋」を立ち上げた。【川本大吾/時事通信社水産部長】

人にもペットにも

 ペット向けの鯨肉やクジラオイルをめぐっては、西岡さん自身がこんな経験を持つ。

「たくさんの犬や猫が喜んでくれています。私の愛犬も、かつて寝たきりになり、余命宣告を受けた時、鯨肉のおやつをあげたら嘘のように走り始め、1ヵ月半以上も延命しました」

 一方、食用の鯨肉流通については、

「鯨肉の場合、通常は数百グラム単位でしか確保できないことが多いと思います。1パック(50~60グラム)単位で仕入れられたら、クジラを食べる人がもっと増えるのではないかと思い小ロットでの販売も行っています」(西岡さん)

 クジラの魅力を広めるため、「それぞれの部位のおいしさはもちろん、鯨肉にはさまざまな健康機能があるため、自分でも体感しながら、多くの人たちにクジラパワーを伝えていきたい」(同)と意気込んでいる。今後、食のイベントなどで活動を展開するとともに、クジラ料理のレシピなども開発し、SNSで発信していくという。

水産業界で際立つ“女性活躍”

 男社会の水産業界ではいま、各地で新たな女性漁師が誕生したり、東京・豊洲市場(江東区)をはじめとする魚市場でも、女性競り人が活躍し始めたりするなど、“魚女子”が目立つようになってきた。築地場外市場でも大型マグロをさばく「ツナプリンセス」が注目を集め、話題性だけでなく魚食の普及にも一役買っている。

 こうしたなか、クジラの消費向上を狙い、共同船舶も“クジプリ”を通じた新たなPR戦略に打って出たわけだ。今年9月4日の「クジラの日」には、東京・台東区御徒町の鮮魚店「吉池」で鯨肉を販売。西岡さんはクジラが描かれた帽子や法被を着て、共同船舶の母船式捕鯨船「関鯨丸」で生産した大型鯨類・ナガスクジラの赤肉を売っていた。格安で提供したこともあって、用意した30キロは早々に完売した。

 10月中旬には、東京ビッグサイト(江東区)で行われた「食品開発展」でも、西岡さんはクジラのコスチュームで共同船舶のブースに登場。鯨肉そのものではなく、クジラ由来の「オメガオイル」や、赤肉に含まれるアミノ酸「バレニン」のサプリのほか、犬猫用に赤身肉をダイス状にカットしてフリーズドライ加工したおやつなどを多くの来場者にPRしていた。

次ページ:おいしくて“不漁知らず”

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。